中国、第2の天安門事件勃発の懸念…大学新卒者800万人超え、半分以上が就職できず
中国では今、今年の大学新卒者の就職活動がピークを迎えているが、半数以上の430万人以上が就職浪人になる見通しであることが明らかになった。多くの失業者を生んでいる米中貿易戦争が、この状況に拍車をかけている。しかも、すでに就職が決まっている新卒者の6割以上が初任給6000元(約9万6000円)以下であるなど、中国の大学新卒者の悲鳴が聞こえるようだ。
6月4日は民主化を求める多くの学生が中国人民解放軍によって虐殺された天安門事件の30周年だが、今後は多くの学生や失業者が職を求めて政府を批判するなど、第2の天安門事件の再発も懸念される。
大学進学率、急上昇の弊害
中国教育部(日本の文部科学省に相当)によると、今年の大学新卒者数は約834万人と史上最高で、これまででもっとも多かった昨年の820万人に比べると、10万人以上多い。しかし、官庁や企業の求人数は米中貿易戦争の激化が影響して、例年よりも減少しているのが実情だ。たとえば、昨年の新卒者の求人数は約400万人程度だったが、今年は400万人を割り込むのは確実だ。
さらに、人材紹介サイト「智聯招聘」は5月下旬、すでに企業などから内定を得た今年の新卒者8万8150人を対象にした調査結果を発表。それによると、8割以上の学生が「厳しい就職戦線だった」と回答したうえで、雇用契約上の初任給が6000元以下だったのが6割以上を占め、4000元(約6万4000円)以下も全体の3割に達していた。
しかし、これはまだ良いほうで、就職戦線が終盤を迎える8月の駆け込み就活で内定が決まる企業は、「就活生の足元をみて、初任給をぎりぎりまで下げる傾向がある」と同サイトは予測しており、最終的に初任給は平均で4000元以下が6割以上で、3000元(約4万8千円)以下も3割に達する見通しだ。
さらに、いざ働いてみると、大学の専攻や自身の希望職種と実際の仕事のギャップが大きい例も多い。同サイトの調査では「ミスマッチは年々拡大しており、昨年2018年の卒業生の39.2%がミスマッチに悩み、満足のいく就職だったと答えたものは1%に満たなかった」と答えている。