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佐川急便の配達員が荷物投げつけ、ヤマトやアマゾンも…倉庫で床引きずりや上下逆さ

文=Business Journal編集部
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佐川急便の配達員が荷物投げつけ、ヤマトやアマゾンも…倉庫で床引きずりや上下逆さの画像1
YouTube上に投稿された佐川急便の配達員が荷物を投げつける動画

 佐川急便の配達員が荷物を投げつける動画が拡散され波紋を呼んでいる。佐川に限らず過去にはアマゾンやヤマト運輸でも同様の事案が発生したことがあり、ヤマトの男性配達員が、伝票上の携帯電話番号を使って客の女性をナンパするという事案も発生しており、宅配業者の配達員をめぐる不祥事がたびたび注目されるが、背景には配達員の過酷な労働環境があるとの指摘もなされている――。

 今月、配送車に戻ってきた佐川の配達員が荷台に荷物を強く投げつけ、ドアを乱暴に閉める動画が拡散。佐川は「宅配協力会社の従業員であることが判明し、再発防止に向けて、当該宅配協力会社に対しては、丁寧な荷扱い等、教育の再徹底をお願いしております」とするコメントを発表した。

 同様の事案は過去に他の宅配業者でも起きている。2020年、アマゾンの配送パートナーである配達員が車の荷台から荷物を取り出し、道路の反対側に向かって放り投げる様子を収めた動画が拡散され、アマゾンはメディアの取材に対し「このような行為は容認していない」とコメント。ヤマトでも13年に協力会社のドライバーが宅配便を海に投棄するという事件が発生しているほか、ネット上では荷物を雑に扱われたという書き込みや動画の投稿もみられる。大手宅配業者社員はいう。

「配達員は一日100~200個ほど荷物を配達することもざらで、荷物を荷台から降ろして住戸の玄関先まで行きインターフォンを鳴らし、客が出てくるのを待って荷物を渡して車に戻るまで10分かかったとして、仮に移動時間を除いても1時間で6個、10時間で60個しかこなせない。時間がギリギリのなかで、もし配達先の客が不在の場合は、その10分がすべて無駄になるわけで、配達員のイライラがどれだけ大きいかは想像に難くない。よく『配達員の態度が悪い』という声も聞かれるが、とにかく指定された時間内ですべての荷物を配りきることが最優先で、そもそも配達員は『荷物を届けること』が本来のタスクなので、レストランやホテルの従業員と同じように考えてもらっても困る。

 再配達で時間指定をしてきたにもかかわらず、その時間帯に不在の客もおり、いくら仕事とはいえ配達員も人間なので、そういうことをされると、さすがにイラっとするのは仕方ない。今回問題となっている佐川の配達員も、荷物を持ったまま玄関の前でブツブツと文句を言う動画もあり、かなりイラついている様子が伝わってくるが、何度目かの再配達にもかかわらず客が不在だった可能性もある」

 別の宅配業者関係者はいう。

「配達員と一括りでいっても、そのスキルには人によって天と地ほど差がある。ベテランで慣れた配達員だと、その日の配達ルートの計画を綿密に組み立て、それに基づいて車の荷台への荷物の積み方を工夫し、効率よく作業していく。まさにプロフェッショナルで職人技。一方、大手宅配業者から一定期間だけ委託を受けている個人業者などでは、バイト感覚で素人同然の配達員もいる。今回の佐川の件も配達員は協力会社の従業員ということなので、想像以上の大変さに根をあげたのかもしれない」

「宅配クライシス」が社会問題

 2017年、ネット通販の普及などによる宅配便取扱量の激増を受け、ヤマトの労働組合が会社側へ宅配便の引受総量の抑制を要求。事態を重く見たヤマトはアマゾンに宅配サービスの一部見直しや値上げを求め、ヤマトはアマゾンの荷物の取り扱い停止も視野に入れていたことから、この頃から「物流パンク」「宅配クライシス」が社会問題として注目されていった。

「以前では時間指定から少し遅れただけで客から文句を言われることもあったが、この頃から『配送員も大変』という認識が広まったおかげで、明らかに客の態度や理解が変わった。特にコロナが広まった2020年の年末はさらに数が増え逼迫ぶりが本当にヤバく、県をまたぐ遠距離の配送だと、いつ届くかわからないという状況になったが、テレビのニュースなどでも大きく取り上げられたため、宅配業者としては助かった面はある」

 ちなみに世間では「佐川よりヤマトのほうが荷物の扱いが丁寧」というイメージを持つ人も少なくないが、「仕分けする倉庫内の実態はどちらも似たり寄ったり」(宅配会社関係者)だという声も。そこで今回は16年2月28日付当サイト記事『ヤマト宅配便、乱暴な荷物扱い実態…バッグを床に引きずり、瓶割れて液染み出し、上下逆さ』を再掲載する。

――以下、再掲載――

 宅配業者を選ぶ際にインターネット上の口コミを調べると、圧倒的な支持を集めているのがヤマト運輸の「宅急便(クロネコヤマト)」だ。佐川急便の「飛脚宅配便」と比較しても「品物の扱いが丁寧」などとヤマトドライバーに対し好感を抱くユーザーが多く見られる。

 しかし、ヤマト元社員によれば、倉庫での荷物の扱いは決して丁寧とはいえないという。

 ヤマトは、2015年のオリコン日本顧客満足度ランキング「宅配便」部門で、宅配便8社を対象として実際の利用者3,345人に調査が行われた結果、「受取のしやすさ」「再配達」「配達担当者の対応」「会社の信頼性」などすべての項目を制覇し「評価項目総合」1位に輝いている。もちろん「荷物の取扱い」もトップだったが、元社員はこう証言する。

「ヤマトの倉庫では発送地域ごとに荷物を仕分けるのですが、荷物を乱暴に投げるなど扱いが雑すぎて、膨大な荷物の中にはワインが割れて箱から染み出したり、冷凍の氷が溶けて魚臭い水が漏れ出したりして他の荷物に垂れているものもありました」

 また、別の元社員もヤマトの倉庫の実態をこう明かす。

「ゴルフバッグは重いので床を引きずられながら運ばれ、それが倒れてくることもしばしば。さらに、日本語が読めない外国人アルバイトもいるので、荷物が逆さまに積まれていることもありました」

 こうしたトラブルは倉庫にいる社員やベテランスタッフがフォローしていたというが、自分の大事な荷物がそんな扱いをされていると思うと気が気ではない。

客の評価は上々

しかし、ネット上で改めて利用者の声を見てみると、

「ヤマトの配達の人はめちゃくちゃ人がいい」
「荷物送るときは、絶対にヤマトに頼む」
「うちの地元の佐川は対応悪いから、ヤマトがいい」

などの意見が散見され、やはりヤマトへの信頼度は高く、引き合いに出されることが多い佐川急便には嫌な思いをしたことがあるユーザーが少なくないようだ。実際に両社を利用している企業に勤める女性は語る。

「佐川さんは受付に荷物を投げ入れるように運んでくることがあってビックリしますけど、ヤマトさんはいつも丁寧に扱っています。お客様宛の荷物は、必ずヤマトさんにお願いするようにしています」

 このようにヤマトはドライバーによる「荷物の取扱い」の評判が高いだけに、客から見えない倉庫での実態はかなりショッキングだ。

 一方の佐川急便に関しては「うちに来る佐川の配達員はいい人が多い」という声も聞かれ、ドライバーによって印象がかなり左右されている様子。前述の顧客満足度ランキングでも、1位のヤマト運輸に続く2位と3位は、佐川急便と日本郵便の「ゆうパック」が接戦をしている。元社員が語ったようなヤマトの実態が改善されていなければ、いつか顧客満足度トップの座にも影響が出てくるのではないだろうか。逆に、客から見えない部分ももっと徹底してくれたら、顧客はこれ以上ないほど満足するに違いない。

(文=Business Journal編集部)

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