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女性誌「InRed」編集長に聞く、構造不況の出版業界で部数大幅増&豪華付録人気の秘密

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–誌面づくりの上で、他の雑誌を分析したり参考にしたりすることはありますか?

箕浦 もちろんチェックはしますが、結局、ひとつの雑誌というのは小さなコミュニティみたいなものなので、「自分の雑誌の世界観を、いかにつくるのか?」というほうが大切だと思います。今はウェブでいくらでも情報を得られるので、一般の人々は自分にとってどれが必要な情報なのか、どれがオシャレでどれがそうじゃないのか、わかりにくい時代です。そんな中、「自分の好きな雑誌に載っているから、これはOKなんだ」とか、「InRed」読者の中で「これはいいよね!」という共通の価値観があること、それが雑誌にとって大切であり、それはきっと雑誌ごとに違うのだと思います。

–そのような30代女性の価値観を捉えるのは難しそうですね。

箕浦 ええ。世代によって気分のようなものが確実に違っていて、それを嗅ぎ取るのがすごく難しいです。雑誌というのは、いくらマーケティング調査やヒアリングをして、それを誌面化しても売れません。例えば自動車や電化製品などの場合、マーケティングに基づき色や形を検討していくと思いますが、雑誌はもっとあいまいに世界観や世代の気分をつくらなければなりません。

 私が「InRed」編集長になったのは2012年の2月からですが、2000年に「mini」という主に20代前半の女性をメイン読者とするストリートカジュアルの雑誌を創刊しました。その「mini」の読者だった人たちが今まさに30代になり、私がずっと見続けている世代であるため、幸運にも私自身が「InRed」のメイン読者層の世界観や気分をつかみやすいというのもあります。

–ちなみに、箕浦さんご自身と共に年齢を重ねてきた読者は、いずれ上の世代になっていき、逆に下の世代が新しく30代に入ってきますが、今の「InRed」の読者も、いずれ「InRed」を離れる一方で、新しく30代になった読者が流入してくるというイメージなのでしょうか?

箕浦 そうです。女性誌にはその傾向が強く、読者は年齢を重ねながら「今読んでいる女性誌を卒業して、年齢にふさわしい女性誌を手にする」というのを繰り返します。

●付録のオリジナル・ブランドグッズは、編集部主導で企画〜製造

–「InRed」を含む宝島社の雑誌の特徴として、豪華な付録が挙げられますが、これはどのようにつくっているのですか?

箕浦 編集部でアイデアを出して、ブランドさんのご協力も得つつ、企画からデザイン、製造まで半年ほどかけて行います。すべて特注のオリジナル商品で、雑誌の強力なコンテンツのひとつでもあります。付録は長年やってきているので、日々の雑誌づくりを通じて感じる読者ニーズを捉えつつ、グッズの形や「ボタン、ポケットをどこに付けるのか?」など細かい部分まで含めて、編集部員が考えています。他社さんでも付録グッズ付きの雑誌がありますが、弊社のクオリティはどこよりもいいと自負しています。

–女性誌で付録を最初に付け始めたのは貴社かと思いますが、その狙いはなんだったのでしょうか?

箕浦 弊社は出版流通を使ってどんなコンテンツがつくれるのか、昔からいろいろな取り組みをしてきました。付録も当初は「こういうのを付けたら面白いんじゃないか」ということで始めたのですが、想像以上に読者が喜んでくれたので「強力なコンテンツになる」ということがわかり、どの雑誌でも付けるようになりました。

–ブランド企業のほうから「うちのブランドを『InRed』の付録グッズで使ってほしい」というオファーを受けることはありますか?

箕浦 あります。しかし、ブランドさんとコラボしても、製作も編集部が外部の工場を選定して行いますし、ブランドさんとの間でお金のやりとりが発生するわけではありません。

–今後、さらに「InRed」の部数を伸ばすために、何か考えていることはありますか?

箕浦 「大きな打ち上げ花火を上げよう」みたいな考えは特にないですね。むしろブレないように世界観を大切にしていきたいと思います。

BusinessJournal編集部

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