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「暑い夏は服が売れない」は間違い?トレファク営業益21.5%増が示すリユース業の強み

2026.10.16 05:55 2026.10.15 22:23 企業
文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=永田由紀/流通コンサルタント
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トレファクの店舗(「Wikipedia」より)

●この記事のポイント
トレジャー・ファクトリーの2026年3〜8月期は、売上高が15.3%増、営業利益が21.5%増、純利益が21.0%増でした。衣料(14.5%増)と家電(12.5%増)の販売に加え、店頭の持込買取(11.1%増)など仕入れの伸びが寄与しています。記事では、セカンドリテイリング(旧ゲオHD)とブックオフGHDの直近決算とも比べながら、猛暑と物価高がリユース市場と衣料消費に与えた影響を読み解きます。

 猛暑は衣料品店にとって逆風――。小売の現場では長くそう言われてきた。客足が鈍り、秋物の立ち上がりが遅れ、売れ残った夏物は値引きで処分する。ところが2026年の夏、リユース(中古品)大手の決算には、その常識とは違う数字が並んだ。

 トレジャー・ファクトリー(以下、トレファク)が10月14日に発表した2027年2月期中間決算(2026年3〜8月)は、売上高258億9100万円(前年同期比15.3%増)、営業利益23億3000万円(同21.5%増)、親会社株主に帰属する中間純利益14億9700万円(同21.0%増)。6〜8月の第2四半期単独の営業利益4億7500万円は、第2四半期として過去最高だった。単体の既存店売上高は、2021年9月から60カ月連続で前年同月を上回っている。

 新品はどうだったか。日本百貨店協会によると、8月の全国百貨店売上高は2.6%増だったが、衣料品は0.8%増にとどまった。紳士服・洋品は0.8%減、婦人服・洋品は0.1%減。7月は接触冷感やUVカットといった機能性商品が好調だった一方、8月は「地域ごとの天候差」で盛夏商材の動きにばらつきが出たという。新品が負けたわけではない。ただ、伸び率の桁が違う。

 この差はどこから来るのか。リユース大手3社の開示資料を読み比べると、「暑かったから」だけでは説明しきれない構造が見えてくる。

●目次

衣料と家電、二つの夏需要を同じ店で受ける

 トレファクの中間期のカテゴリー別販売高を見ると、衣料は前年同期比14.5%増で、販売高全体の47.4%を占める。会社は増加の背景に「気温上昇に伴う夏物衣料需要の高まり」を挙げる。電化製品も12.5%増。3〜4月の新生活需要に加え、エアコンや扇風機など夏物家電の販売が伸びた。

 衣料専門店では、暑さの恩恵を受けるのは衣料売り場だけだ。総合リユース店は、同じ気温上昇を衣料と家電の二つの売り場で受け止められる。電化製品の構成比は9.6%と衣料ほど大きくはない。それでも、天候による振れを複数の売り場で分け合う形にはなっている。

 店頭での「ついで買い」がどれほど起きているか、同社は数値を開示していない。ただ、家電を見に来た客が衣料売り場をのぞく、衣料を売りに来た客が買取金で生活用品を買う、といった回遊は、総合型という業態がもともと狙っているものだ。決算説明資料でも、8月は「店舗回遊施策が奏功」したと説明している。

「総合型の強みは、天候や流行でひとつのカテゴリーが崩れても、ほかで補えることにあります。今年は衣料と家電がたまたま同じ向きに振れました。それがそのまま数字に出たとみています」(流通コンサルタント・永田由紀氏)

 もっとも、増益の理由は天候だけではない。連結売上総利益率は60.2%と0.2ポイント改善し、単体既存店に限れば65.9%と1.0ポイント上昇した。会社は、前期第3四半期に買取クーポンの運用を見直し、値入れが改善したと説明する。暑さが売上を押し上げ、粗利の改善が利益を押し上げた。この二つは分けて見たほうがいい。

勝負を分けるのは「仕入れ」

 リユース業は、売る商品がなければ始まらない。新品小売のように発注すれば届くわけではなく、売り手から買い取った量がそのまま売上の天井になる。

 トレファクの中間期の商品仕入高は14.6%増。チャネル別(単体)では、店頭への持込買取が11.1%増、宅配買取が22.2%増、出張買取が20.5%増だった。ブックオフグループホールディングス(GHD)も、国内ブックオフ事業の既存店仕入高が第1四半期(2026年6〜8月)に前年同期比122.8%に達した。アパレルの仕入高も114.5%と、販売(104.7%)を上回るペースで伸びている。

 ブックオフの数字は、もう一歩踏み込んで読める。既存店の仕入客数は102.3%で、仕入高(122.8%)ほどは伸びていない。売りに来る人が大きく増えたというより、一人あたりの持ち込み量か買取単価が上がった計算になる。

 各社がその背景として共通して挙げるのが、物価上昇に伴う生活防衛意識だ。不要品を現金に換えたい人が増えれば、買取の母数そのものが広がる。

 ここでフリマアプリとの関係にも触れておきたい。フリマアプリは自分で値段を決められるぶん、高く売れる可能性がある。そのかわり、撮影、出品、購入者とのやり取り、梱包、発送までを自分でこなし、販売手数料と送料も負担する。数百円から千円台で取引される夏物のTシャツのような商品だと、手間に見合う分が手元に残りにくい。

「単価の高いものはフリマアプリ、細かいものや急ぎのものは店頭へ。売り手の使い分けは年々はっきりしてきています。店頭ならその日のうちに現金になるし、数が多くてもまとめて持ち込めるので、値段の差より手間を重く見る人は少なくありません」(同)

 ただし、各社の開示から「フリマアプリの利用者が店頭に移った」とまでは言えない。店頭の買取が伸びていることと、それがどこから流れてきたのかは別の問題だ。両者は競合しながらも、中古品を手放す人の裾野を一緒に広げている。そう見るほうが実態に近いだろう。

大手3社、それぞれの戦略

 決算期が異なるため単純比較はできない。それでも直近の四半期を並べると、3社が伸びている理由はそれぞれ違う。

・トレジャー・ファクトリー(対象期間:2026年3〜8月)
連結売上高  258.9億円(+15.3%)
連結営業利益 23.3億円(+21.5%)
伸びを引っ張った分野 衣料+14.5%、服飾雑貨+18.5%、家電+12.5%

・セカンドリテイリング(旧ゲオホールディングス 2026年4〜6月)
連結売上高  1250.0億円(+19.7%)
連結営業利益 53.0億円(+32.8%)
伸びを引っ張った分野 セカンドストリート事業(衣料・服飾雑貨・家具・家電等)+23.6%

・ブックオフGHD(2026年6〜8月)
連結売上高  326.2億円(+10.5%)
連結営業利益 8.7億円(+80.6%)
伸びを引っ張った分野 既存店でトレカ・ホビー+15.2%、家電・携帯+17.0%、アパレル+4.7%

出典:各社の決算短信・決算説明資料。ブックオフの分野別は国内ブックオフ事業の直営既存店。

 セカンドリテイリングは、創業40年の節目となる2026年10月にゲオホールディングスから商号を変えた。国内の「2nd STREET」は6月末時点で949店(FC含む)。衣料と服飾雑貨を軸にした専門型の店舗網を国内外で広げ、規模と出店の速さで流通量を押さえる戦略だ。

 同社は第1四半期について、リユース衣料・服飾雑貨が国内外とも堅調だったと説明している。ゲームやスマートフォンなどのリユース売上も16.8%増えた一方、新品の売上高は3.4%減だった。社名に「セカンド」を掲げたことも含め、グループの重心が中古に移っていることが数字からも読み取れる。

 ブックオフの伸びを支えているのは、暑さよりトレーディングカード・ホビーだ。既存店売上の24.6%を占める。アパレルは構成比10.7%で、伸びは4.7%にとどまる。そのうえで大型店「BOOKOFF SUPER BAZAAR」の出店を続け、本やソフトを目当てに来た客を総合リユースの売り場へつなげている。

 トレファクはその中間にある。衣料が販売の半分近くを占めながら、家電・家具・ホビーまで扱う総合型だ。関東を中心に店を密集させる出店を重ね、中間期は19店を出してグループ店舗数は337店になった。

季節が曖昧になると、服の買い方はどう変わるか

 今夏の決算から言えるのは、気温上昇と物価高が重なると、リユース大手は「売りたい人」と「買いたい人」の両方を取り込みやすい、ということだ。暑さが長引いても、中古なら手ごろな値段で必要な分だけ買える。着なくなれば、また売れる。

 トレファクは決算短信で、実質賃金の伸び悩みを背景に消費行動が「安いから買う」から「共感・納得して選ぶ」へ移りつつあると記している。安さだけでは差がつきにくくなる、という自己認識でもある。

 これは新品アパレルにとっても別の話ではない。百貨店で接触冷感やUVカットの商品が売れたように、新品は「機能」で選ばれる場面が増えている。中古で値がつくかどうかを買う前に気にする人が増えれば、新品と中古は奈い合うだけでなく、一着の服の「一生」の前半と後半を分け合う関係に近づいていく可能性がある。

「夏と秋の境目がはっきりしなくなると、シーズン前に新品をまとめて買うやり方は外れやすくなる。必要なときに必要な分だけ買い、着終えたら手放す。中古市場はその受け皿になりやすい」(同)

 とはいえ、追い風がずっと続く保証はない。トレファクの商品在庫は中間期末で104億円と、期初から13億円増えた。会社は秋冬の繁忙期に現金化する計画だが、暖冬になれば単価の高い冬物衣料の動きは鈍る。免税売上も、免税制度がリファンド方式に変わることから、今後は伸びが鈍る見通しを示している。

 気候や物価がどう振れても、商品を安定して集め、天候に合わせて売り場を素早く入れ替えられるか。リユース各社の差は、今後この「在庫の機動力」で開いていくと考えられる。その答え合わせになるのが、この秋冬の数字だ。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=永田由紀/流通コンサルタント)

【主な参照データ・出典】

トレジャー・ファクトリー 2027年2月期 第2四半期(中間期)決算短信(2026年10月14日)
トレジャー・ファクトリー 2027年2月期 第2四半期 決算説明資料(60カ月連続、粗利率、カテゴリー別仕入・販売)
ゲオホールディングス(現セカンドリテイリング)2027年3月期 第1四半期決算短信(2026年8月6日)
セカンドリテイリング IR情報(商号変更の経緯)
ブックオフGHD 2027年5月期 第1四半期決算短信/同 決算補足資料(2026年10月13日)
日本百貨店協会 2026年8月 全国百貨店売上高概況/同 7月

BusinessJournal編集部

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公開:2026.10.16 05:55