米株式市場ではIT(情報技術)関連やバイオ株の下落が目立つが、中でも新興企業株の星といわれたツイッターの下落が際立っている。これらのような株はモメンタム・ストックと呼ばれており、モメンタムは「勢い」、ストックは「株式」のことだ。投機好みの個人投資家が勢いで買う銘柄といったニュアンスだろう。だから成長鈍化の懸念が出ると、勢いで上げた分はすぐ剥げ落ちてしまうのだ。
ツイッターがニューヨーク証券取引所に上場したのは13年11月のこと。上場した時の初値は45.10ドルだったが、現在の株価はこの初値を大きく割り込んでいる。13年10~12月期に初の減少となった閲覧数は13年末と比較して6%増となったが、半年前の水準を下回った。閲覧数は海外で落ち込み、最終損益は赤字となり、同社の株価上昇の拠り所となっていた「成長」に陰りが見え始めてきた。個人投資家の失望が、株価下落に直結した格好となったが、「ツイッター株には買い材料が見当たらない」(証券アナリスト)という見方も市場には広がりつつある。
5月4日付産経新聞によれば、米国のインターネットマーケティングの権威であるスコット・ギャロウェイ氏は講演の中で、ネットの勝ち組の代表格は米アマゾン・ドット・コムであり、一方、負け組は米ツイッターなどであると語っている。その理由として、
短文が投稿されても広告主の売り上げ増との相関性が低いためとしている。
迎えた成長の踊り場
モメンタム・ストックの中でも一定の業績的な裏付けがある企業の株は、下落率はツイッターほどではないようだ。14年1~3月期決算で6億4200万ドル(約660億円)の純利益を確保したフェイスブックは、高値からの下落率は2割にとどまっている。ちなみに5月19日のNASDAQ市場の終値は59.21ドルだった。
米株式市場でダウ工業株30種平均は5月14日に史上最高値を更新していることからみて、フェイスブックも売られているのは事実だが、ツイッターほど下げているわけではない。米メディアは「ITバブルの崩壊か」と騒いでいるが、モメンタム・ストックは、すべて売りということでもなさそうだ。今後、ツイッターはフェイスブックとの株価の差を縮めることができるのか、創業以来急成長を続けてきたツイッターは、成長の踊り場を迎えている。
(文=編集部)