そこで、今回は「周辺環境の見方」をご紹介します。
まず、周辺環境のどこを見たらいいのでしょうか? ひと口に周辺環境といっても、見なければいけないところはたくさんあります。例えば、近隣のスーパーマーケットやコンビニエンスストア、金融機関、学校、保育園など、生活利便施設までの距離や雰囲気を確認することは重要なポイントです。しかし、これらは今ならGoogleマップなどインターネットで確認できるので、現地で確認しなくてもおおよその判断ができます。
やはり現地で確認したいことは、雑誌などの紙情報やインターネットで知ることのできない情報です。例えば、周辺の騒音や臭気、治安、防犯対策状況は現地でなければ確認ができません。駅に近い物件では、騒音や治安面。閑静な住宅街では、防犯面は確認しておきたいところです。
●時間帯による環境の変化を確認する
これらを確認する上で重要なのは、「周辺環境は時間によって変化する」という点です。筆者が実践をお勧めしたいのは、時間を変えて複数回、駅から物件まで歩いて物件周辺を見てみることです。
以前、あるターミナル駅から徒歩3分にある物件で経験した実例です。駅に近いので、周りにスナックなど飲食店の看板はあるものの、物件の隣に分譲マンションがあり子供も近くで多く遊んでいましたので、気にするほどでもないと思っていました。しかし、念のため夜の環境も見てみたところ、物件のはす向かいにはネオンが輝き、昼間は看板もなく普通のアパートだと思っていた建物の各部屋がすべて飲み屋だったことがわかりました。静かだった昼間から一変してカラオケの歌声が響き、深夜には酔客がうろうろする……とてもお勧めの環境とはいえない物件でした。駅に近く、生活の便利さは申し分ないのですが、女性や朝が早い生活スタイルの方にとっては劣悪な環境です。
そのほかにも、駅から物件までの道のりで昼間は明るくても、夜になると街灯が少なく防犯面で気になる物件もよく見かけます。特に女性は、この点に注意が必要です。また、“平日の顔”と“休日の顔”が違うこともあります。
例えば、休日に物件確認した際には目の前の道路の交通量が少なかったのに、平日は幹線道路への抜け道として朝夕に危険なほど交通量が増えるケース、逆に平日は静かなのに、休日になると近くの公園に大勢の人が集まり朝から騒音が絶えないケースなど、一度物件を見ただけではわからないことがあります。
さすがに「平日と休日のそれぞれ昼と夜」の4回も見ることは現実的ではないかもしれませんが、最低でも昼と夜の2回ぐらいは見てきたいものです。どうしても1回しか訪れることができない場合は、「自分や家族が最も家にいる時間帯」の周辺環境(状況)を確認するようにしましょう。
(文=秋津智幸/不動産コンサルタント)