昨年11月、ゲーム・パチンコメーカー大手セガサミーHDは、韓国カジノ最大手パラダイスグループと合弁で、統合型リゾートに進出した。韓国初の大規模IRは2017年上期の開業を目指す。建設予定地はソウル近郊の仁川国際空港から数分の場所で、東京ドーム4個分以上(20万3000平方メートル)の敷地に外国人専用カジノ、五つ星の高級ホテルのほか韓流エンターテインメント施設、国際会議場、スパ(温浴施設)などを備える。第1期の投資額は約1380億円だ。
セガサミーHDとパラダイスグループの合弁会社パラダイスセガサミーが運営に当たる。出資比率はパラダイス55%、セガサミーHD 45%。完成後は「パラダイスシティ」の名称で営業を始め、韓国に押し寄せる中国人富裕層をターゲットにする。
着工式に出席した里見氏は「北東アジアの観光の中心的存在にするため、グループの総力を結集する」と述べたという。里見氏は日本でカジノが解禁された場合、12年に買収した宮崎県のリゾート施設フェニックス・シーガイア・リゾートにIRを誘致する構想を表明している。だが、セガサミーHDにIRやカジノを運営するノウハウはないため、韓国でのIR事業を通してノウハウを蓄積する。
●パチスロ関連企業、こぞってカジノ事業に進出狙う
セガサミーHDはアミューズメント機器のセガとパチンコ機器のサミーが04年に経営統合して発足。14年3月期の連結売上高は3780億円、営業利益は385億円で業界最大手だが、06年3月期に売上高5532億円、営業利益1194億円をあげていた頃に比べると、業績は低迷している。
そこで、新たな収益源と見込んだのがカジノ関連事業である。カジノの専用遊技機を開発中で、世界各地のカジノに売り込む方針だ。カジノの運営に本格的に進出するのは、専用機器を売り込む一環とみられている。
パチンコ・パチスロ業界は、かつて30兆円産業ともてはやされたが、相次ぐ規制の強化で03年をピークに下降線をたどる。「レジャー白書2014」(日本生産性本部)によると、13年のパチンコ・パチスロの市場規模は18兆8180億円にまで落ち込んだ。パチンコブームが起きるたびに、射幸心を刺激するとして規制が強化された。1980年代のフィーバー機、90年代の連チャン機、2000年代前半の爆裂機の規制が好例だ。長期低落傾向を受け、メーカーもホールも多角化を加速。パチンコ・パチスロと親和性の高いカジノ事業が関心を集める格好となった。