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2023.07.07 23:16
2015.02.15 00:09
林總「かみくだいてご説明しますと……」
搾取される中間層 金持ちはより金持ちに、貧乏はより貧乏になる理由 進む富の偏在
だが、富の再配分の観点からすれば、超富裕層により高い税を課すべきだったにもかかわらず、たった5%増えたにすぎない。その一方で、基礎控除額を引き下げて、中間層に幅広く課税しようとしている。
総務省統計局の資料(平成21年度)によれば、1億円以上の家計資産を有する世帯は3%、5000万円以上が6.7%である。家計資産の内訳は、金融資産、宅地・住宅、耐久消費財を含むから、地価の高い都市部は当然高くなる。今回の増税で、相続税を納税する世帯は全体の3%から5%程度に増えるという。家計資産が5000万円以上1億円未満の人たちが狙い撃ちされたのだ。しかし、こうした人たちは富裕層ではない。土地が値上がりし、こつこつと貯めた預金が課税範囲に達したというだけにすぎない。相続税を支払うために、老後の資金がなくなるかもしれないのだ。ちなみにアメリカでは、遺産税の基礎控除は500万ドル(約6億円)で、準富裕層や中間層には課税しない。
戦後、日本の中間層は分厚くなった。せっかく増えた中間層に対して課税を強化し、最高税率をたった5%引き上げただけでは、富の偏在をなくすという目的は達成されない。デフレの時代につくられたこの税制が、日本経済にとってマイナスに作用することのないように祈るばかりだ。
(文=林總/公認会計士・税理士)
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