この連載企画『だから直接聞いてみた for ビジネス』では、知ってトクもしなければ、自慢もできない、だけど気になって眠れない、世にはびこる難問奇問(?)を、当事者である企業さんに直撃取材して解決します。今回は放送作家の山名宏和氏が、ナビダイヤルに関する疑問に迫ります。
【今回ご回答いただいた企業】
NTTコミュニケーションズ様
電話で問い合わせをするサービスセンターなどで気になることは尽きないが、最近また気になることがあった。日本航空(JAL)の国際線お問い合わせ窓口に電話をかけた時のことである。
「ナビダイヤルでおつなぎします」
ナビダイヤル――時々耳にするが、どんなものなのか詳しくは知らなかった。調べてみると、「日本国内において、複数の着信先に対して、全国的に統一された電話番号を提供する」サービスであることがわかった。0570から始まる電話番号がナビダイヤルである。
しかし、気になったのはナビダイヤルそのものではない、それに続くアナウンスである。
「この通話は180秒ごとに、およそ8円の通話料金でご利用いただけます」
3分で10円弱。固定電話からかけたのであれば、妥当な料金である。しかし、通常の通話であれば相手が出た時点で話し始めることができるのだが、サービスセンターの場合、なかなかそうはいかない。JALの国際線問い合わせ窓口の場合、担当者につながるまで、さらに3つのアナウンスが流れる。
「ありがとうございます。JAL国際線でございます。はじめに電話機の0を押してください」
「予約、変更、取り消しは1、購入払い戻しは2、その他の問い合わせは3を押してください」
「担当者におつなぎしますので、しばらくお待ちください。なお、この通話は電話応対の品質向上とお問い合わせ内容の確認ため録音しております。ご了承ください」
ここまでで約50秒。ここからようやく担当者につながるわけだが、スムーズにつながることはめったにない。必ず電話が混み合っている。今回、試しにかけてみたところ、担当者につながるまで5分40秒ほどかかった。最初の時点から合わせると6分10秒である。この間の料金はどうなっているのだろうか。3分10円で計算すると、担当者が出るまでに20円かかっていることになる。ナビダイヤルの場合、どの時点から電話料金が発生しているのだろうか。
そこで、NTTコミュニケーションズ様に直接聞いてみた。
「ナビダイヤルで問い合わせをすると、○秒ごとに○円の通話料金がかかるとアナウンスが流れますが、料金はどの時点から発生するのですか?」
担当者 各事業所が取り扱っている「0570」のナビダイヤルは、最初のガイダンスが流れた時から料金が発生します。
–では、電話がつながった時点から料金はかかるということですね。
担当者 さようでございます。
–ありがとうございました。
「ナビダイヤルでおつなぎします」のアナウンスも、その後のガイダンスもすべて料金が発生しているのだ。だが、固定電話からかけている時はまだいい。携帯電話からかけた場合には料金は格段と上がり、20秒ごとにおよそ10円だ。
つまりガイダンスを聞き終えるまでに、早くも25円使わされているというわけだ。その中には、この電話を録音していると告げるアナウンスも含まれている。最近、定番となったこのアナウンス、表向きは電話応対の品質向上などと言っているが、実は後にトラブルが生じた場合の証拠に用いるためであるとは、よく言われているところだ。それに対しても料金を払っているわけだ。
ちなみに、携帯電話からかけた場合、JAL国際線の担当者につながるまでに約180円かかっている。そして問い合わせの用件が済むまでには、いくらかかるのだろうか?
電話料金の詳細がわかると、なかなか電話がつながらないサービスセンターに対して、ますます釈然としない思いが増してきた。
(文=山名宏和/放送作家)