独創性のあるマシンとしてコアなファンが多かったパソコンブランド「VAIO」を擁するPC事業部が、昨年売却されてしまったことも記憶に新しいところだが、そのほかにも「BRAVIA」を擁するテレビ事業部を分社化して注目を集めていた。
そして今年に入ってからは、ポータブルオーディオプレーヤーのパイオニアとして世界中を席巻してきた「WALKMAN(ウォークマン)」を擁するビデオ&サウンド事業部も、今年10月をめどに分社化することを発表。
パソコン事業の売却はさておき、テレビ事業やビデオ&サウンド事業はあくまで各事業を自立化させるための分社化であり、利益重視や収益確保を優先した経営判断だということはわかる。しかし、それにしても世界に名の通った有名ブランドを次々と本社から切り離していくその姿には寂しさを覚えるのも事実だ。
そこで今回は、現在のソニーについての印象を、東京・渋谷、原宿で10~20代の女性50人に聞いた。
アンケート結果
・ソニーは好きですか?
好き…22人
どちらでもない…24人
嫌い…4人
・現在ソニー製品(子会社製含む)を使っていますか?
使っている…13人
わからない…18人
使っていない…19人
アンケート結果からわかったことは、ソニーに悪印象を抱いている女性は1割に満たないほどの少数であるということ。しかしその一方、ソニーを積極的に応援する人、ソニー製品を積極的に購入する人は少なかったと言わざるを得ない状況でもあった。
例えば、「現在ソニー製品(子会社製含む)を使っていますか?」との質問に「使っている」という回答の内訳では、「PlayStation」などのゲーム機や「Xperia」といったスマートフォンという答えが目立ったが、どの女性からもあまりソニー製品の熱烈なファンといった印象は受けなかった。これはソニーというメーカーの求心力低下を物語っているのではないだろうか。
若年層はソニー絶頂期を知らず
しかも、その傾向は若年層ほど顕著だ。
20代中盤から後半の女性は「以前ウォークマンを愛用していた」「VAIOを使っていた時期がある」などの理由でソニー愛を少なからずにじませている人もいたが、女子高生などの10代では「ソニーの名は知っているけれど、どういう製品を出しているのかわからない」「『ウォークマン』や『BRAVIA』のメーカーがソニーだとは知らなかった」といった意見や、「ソニーは終わり」などの過激なコメントもあった。
年齢が若くなるほど絶頂期のソニーを実体験として知らず、「悪印象がない」というよりも、そもそも「印象が薄い」といった感覚なのかもしれない。
しかし、日本メーカーとして再度奮起してもらいたいという気持ちを持っている人も多く、特に韓国メーカーや中国メーカーに追いつかれ、追い越されている現状を日本人として悔しく思うと述べる10代女性もいた。
特にムービーのインタビューでもわかる通り、彼女たちにも身近なデジタルガジェットであるスマートフォンへの期待値が高いようだ。
米アップル、韓国サムスン、中国シャオミにも負けないスマートフォンを打ち出すことが、ソニーブランド復活ののろしとなるのではないだろうか。
(文・動画製作=昌谷大介/A4studio)