世間を不安に陥れた耐震偽装問題(姉歯事件)から約10年、今度は設計段階ではなく工事段階での偽装という思わぬ落とし穴で不動産業界への信頼が根底から崩れてしまった。杭打ちデータの改竄は、一般の購入者が見抜くことなど不可能に近く、全国のマンションでは次々と調査の動きが広がっている。
企業に建築時の情報を求めるに当たり住民や所有者の賛否を集めるのが通例だが、その問い合わせの際に意外な芸能人の名前が次々に浮上。これが不動産業者の間で密かに話題となっている。
11月上旬、都内マンションでは、ある若い夫婦が住む部屋の所有者が元モーニング娘。メンバーの名前と一致。賛否アンケートをとっていた40代男性はたまたまモー娘。ファンだったことから興奮気味に連絡をとったところ、まさに本人であることがわかったという。しかも、この部屋の隣の部屋も元メンバーの所有であることが判明した。
この元メンバーは脱退して10年以上が経ち、その後も芸能活動は続けているが、グループ在籍時ほどの人気は見られない。それだけに近年の収入は大きくないと見られていたが、2年前に建てられたマンション2部屋のオーナーというのは、在籍時に稼いだ資産をうまく運用しているといえよう。
ちなみに、こうした“被害”は、タレントのみならず、誰もが名前を知る人気フリーアナウンサーなどにも及んでいる。
こうした情報漏えいの危険性について、有名人が多く住む東京・新宿区の高級マンションに住む実業家は次のように語る。ちなみにこのマンションでは、個人情報のやりとりはすべて厳格に運営される管理会社を通すことになっている。
「住人による理事会をやっていれば個人情報はどうしても漏れるので、そのあたりは住人が外部にその情報を漏らさないということを信用するしかありません。私自身も世間から変なやっかみを受けたくないのでこれまでメディアへの露出を極力避けてきましたが、もし自分の個人情報が表に出てしまえば、引っ越しを考えなくてはならない」
最近では、国勢調査の訪問やマイナンバーの取り扱いなどにより芸能人の在住情報などがインターネット上に飛び交っていたのだが、マンション問題では抽選による選任で理事に選ばれただけで転居をしてしまうほど神経質な芸能人もいる。隣人とのかかわりが個人情報の漏えいにつながるのだから、有名人にとっては深刻な問題である。
(文=ハイセーヤスダ)