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“視聴率女優”篠原涼子、平均視聴率が1桁だった3作品…恐るべき実力と人気が逆に浮き彫り

文=上杉純也/フリーライター
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『ハケンの品格』公式サイトより

 女優・篠原涼子が主演する『ハケンの品格』(日本テレビ系)が好調だ。7月15日に放送された第5話の平均視聴率は13.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録、これで初回の14.2%から始まり、5週連続で2ケタ視聴率をマークすることとなった。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で放送スタートが約2カ月遅れたが、2007年に第1弾が放送され、全話の平均視聴率20.2%を記録した本作には、新型コロナをも吹き飛ばす魅力が秘められていることを示したかたちだ。同時に、それは篠原が主演女優としての人気の健在ぶりをあらためて世に示したということでもある。

 だが、である。確かに『ハケンの品格』は彼女の代表作と呼べるものの、その一方で終始、数字が低空飛行のままだった“黒歴史”の主演作もチラホラと存在する。そこで今回は“視聴率女優”篠原をもってしても、数字が伸びなかった主演作クラス(=番手として3番手くらいまでの作品)のゴールデンタイムの連続ドラマを調査してみた。なお、文中に出てくる視聴率はすべてビデオリサーチ調べ、関東地区の平均視聴率である。

 調べたところ、篠原の主演作クラスの作品で、平均視聴率が2ケタに届かなかった連ドラは3本あった。それを高い順に発表していこう。

 まずは、9.4%とわずかに2ケタに届かなかった作品である。03年4月クールのドラマ『ぼくの魔法使い』(日本テレビ系)だ。

 このドラマは主演が伊藤英明で篠原はヒロイン役。そして脚本を手掛けたのが宮藤官九郎であった。“バカップル”と呼ばれるほどの超ラブラブな夫婦が主人公で、その夫・町田道男に伊藤が、妻の留美子に篠原が扮していた。

 その見どころは、夫がピンチに見舞われると、それを救うために篠原演じる留美子が何かを思い出そうと超人的な記憶力を発揮し、同時に古田新太演じる“田町式記憶術”の考案者・田町浩二というオヤジの姿に変身してしまう大仕掛けのハイテンション・コメディであるという点だった。

 そして変身してしまう妻の対処にあたふたする夫とともに、さまざまなトラブルを乗り越えていく夫婦愛がクドカン流のコメディタッチで描かれた秀作で、こんな伊藤や篠原はもう二度と見られないと思われるほどだった。

 ただ、クドカン作品のなかではメジャー度があまりにも低すぎた。さらに当時の篠原は、まだ主演女優としての地位を完全に確立していなかったことが響いて、この結果になったのではないかと推測される。いわば“早すぎた傑作”だったのかもしれない。ちなみに、ドラマ『アットホーム・ダッド』(フジテレビ系)のヒロイン役として篠原が平均視聴率16.9%を叩き出したのは、この1年後の04年4月クールのことである。

『オトナ女子』、豪華メンバーでも低視聴率だった理由

 前述したように、『ぼくの魔法使い』はまだ篠原の人気&地位が確立していないころの作品だったが、ここからの2作品は言い訳がきかなくなる。

 そのひとつが、『オトナ女子』(フジテレビ系)である。15年10月クールの作品で、ダメな男に振り回される3人の40代女性が夢を叶えるために奮闘する物語だった。

 篠原が演じたのは“あげまん”ながら自身は幸せになれない40代独身OLの中原亜紀。ほかには吉瀬美知子や鈴木砂羽、そして亜紀が憧れる“オトナ男子”高山文夫役に江口洋介と豪華キャストが勢揃いし、さらにこのときの篠原にとっては2年半ぶりの連ドラ復帰作という話題性があった。何より、リアルなアラフォー女性役には定評のある篠原の主演だけに、高視聴率が見込まれると思われた。

 だが、結果は平均視聴率8.7%で期待ハズレもいいところであった。その原因として考えられるのが、スタート当初の制作スタッフに女性が入っていなかった点だろう。プロデューサーもディレクターも脚本家もすべて男性だったこともあり、“40代女性3人の会話に上っ面感”と“ちょっとズレた感”が漂ってしまっていたのである。そのため、メインターゲットだったはずの30代、40代女性視聴者の共感がまったく得られず、スタートからオール1ケタの低視聴率続きとなってしまった。

 この非常事態に制作サイドは、途中の第6話から慌てて女性脚本家を投入したのだが、時すでに遅し。7%台にまで落ち込んでいた数字を9%台に戻すのがやっとというありさまだった。さらに、第3話がプロ野球・日本シリーズの中継延長で、第5話がFIFAワールドカップ・アジア2次予選の中継延長で、それぞれ開始時間が繰り下げられたのも不運といえば不運だった。

『民衆の敵』、観た人からの評価は高いのに視聴率が低い理由

 そしてここからはいよいよ最後の1作品の発表である。ワースト1の視聴率をマークしてしまったのは、17年10月クールの“月9”作品『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』(フジテレビ系)だ。しかも、その平均視聴率は6.7%。まさにぶっちぎりの最下位である。

 本作は月9枠では珍しい“政治”をテーマにした作品で、篠原演じるごく普通の主婦・佐藤智子が、あることをきっかけに市議会議員となって、世にはびこる社会問題と腐った政治をぶった斬っていくといったストーリー。その智子の夫役に田中圭、智子と同じ新人の市議会議員役に高橋一生や前田敦子など、キャスティグも話題となったが、最高視聴率は初回の9.0%で、以降は6~7%台を行ったり来たりという悲惨な状態が続く結果となった。

 とはいえ、架空の地方都市・あおば市を舞台に、女性議員の活躍を描くというコンセプト自体は、時代にマッチしていたように思える。だが、スタートからいきなりケチがついてしまった。

 というのも、肝心な第1話の中に選挙シーンがあるのだが、この放送日が唐突に決まった衆議院議員総選挙の公示期間中と重なってしまったのだ。仕方なく、放送開始を1週間延期せざるを得なくなったのである。しかも、その初回放送もプロ野球セ・リーグクライマックスシリーズ・ファイナルステージ第4戦の中継が延長されたため、30分繰り下げての放送となる始末。まさに“踏んだり蹴ったり”であった。

 だが一番の問題は、展開が早すぎたということだろう。そもそも物語自体が1クールに収まるテーマではないのに、無理矢理詰め込んでしまった感じなのだ。だからついていけない視聴者が続出してしまったのではないだろうか。

 逆に、本作をしっかりと観た視聴者からは、すこぶる評価が高いのである。ハードな政治ドラマで最初は入りにくいものの、気になっていた部分や伏線がちゃんと最後までに回収されて、スッキリできるのだ。事実、本作はギャラクシー賞の17年12月度の月間賞を受賞している。まさに「ちゃんと観てもらえれば……」という作品の典型例であった。

 以上が篠原涼子の主演クラスの連ドラのワースト視聴率ベスト3である。だが、この3本を加えても、これまでの主演クラスの連ドラの平均視聴率は約13.7%と、堂々の合格点を叩き出しているのだ(現在放送中の『ハケンの品格』は未集計)。やはり、篠原涼子恐るべしである。

上杉純也/フリーライター

上杉純也/フリーライター

出版社、編集プロダクション勤務を経てフリーのライター兼編集者に。ドラマ、女優、アイドル、映画、バラエティ、野球など主にエンタメ系のジャンルを手掛ける。主な著作に『テレビドラマの仕事人たち』(KKベストセラーズ・共著)、『甲子園あるある(春のセンバツ編)』(オークラ出版)、『甲子園決勝 因縁の名勝負20』(トランスワールドジャパン株式会社)などがある。

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