嵐の相葉雅紀が主演する月9ドラマ『貴族探偵』(フジテレビ系)の第4話が8日に放送され、平均視聴率は前回から0.2ポイントダウンの8.9%(関東地区平均、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。
麻耶雄嵩氏の小説を原作とした今作は、自らは推理をせず、使用人に謎解きを任せる「貴族探偵」(相葉)の活躍を描くドラマ。今回は、「いづな様」のご利益があるという温泉旅館で起こった殺人事件の真相に女探偵・高徳愛香(武井咲)と貴族探偵の使用人たちが挑んだ。
今回についてはまず、何から何までひどい出来だったと言っておきたい。前週の第3話は本格ミステリーの様相を呈したまずまずの出来だったため、今回もそのレベルを維持してくれることを期待したが、残念ながら制作チームにそこまでの力はなかったようだ。
怪しげな温泉旅館に怪しげな美人女将、正体不明の神様「いづな様」への祈祷の儀式など、鼻形刑事役の生瀬勝久が登場することでもおなじみのドラマ『TRICK』(テレビ朝日系)を意識したような演出が目立ったものの、どこか中途半端。パロディーにもオマージュにもなっておらず、何がやりたかったのがよくわからない。
また、貴族探偵の使用人たちが終盤まで登場しないという設定を特に活かせなかったのも非常に残念だ。もしや今回こそは貴族探偵が自ら推理を語るのかと思いきや、唐突に使用人たちが登場し、捜査をしていた様子もないのに見てきたかのように真相を解き明かす。これでは、使用人たちの出番が終盤までなかったことに何の必然性もない。むしろ、最初からいてくれたほうが自然だった。
使用人の佐藤(滝藤賢一)による推理もかなり強引で、どちらかといえば反則ぎみ。「男女が互いに名前を入れ替えていた」「事件に関係する主要な人物が同性愛者だった」というオチには、劇中でほぼ何の手がかりも示されていないだけに「なんだそれ?」という感想しか出てこない。主要な部分は原作に沿っているだけに、原作のせいと言ってしまえばそれまでなのだが、「視聴者をだますことができれば何でもあり」のような脚本には納得がいかない。
そもそも、被害者の個人情報や行き先を突き止めることができた犯人が被害者の性別を知らなかったというのも無理がある。このドラマは、一見すると正しいように見える愛香の推理を、貴族探偵側がより説得力のある推理でひっくり返すからこそ楽しめるのだ。反対に、今回のように貴族探偵の示す「真相」が無理やりなレベルだと、視聴者も素直に「やられたー」と思えず、フラストレーションが溜まってしまうのではないだろうか。
第4話については、ラスト近くの場面で相葉の後ろに映り込んで瞬間的に消えた男の子らしき人影についてインターネット上で話題が沸騰。「いづな様を表した演出だ」とする見方が多い一方で、「心霊現象だ」「怖くて寝れない」「ほんと無理」など、真剣に怖がる視聴者も目立った。現実的に考えて演出以外の何物でもないのだが、そんなことで注目を集めようとする制作陣も制作陣なら、それにまんまと釣られる視聴者も視聴者といったところだろうか。そんな演出でも視聴率が上がってくれればやったもん勝ちなのだが、そうそう現実は甘くないのではないか。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)