お笑いコンビ・麒麟の川島明が「TBSの朝の顔に内定した」との報が、ほぼ確定情報として業界内を駆け巡っている。現在放送中の『グッとラック!』が3月いっぱいで終了することは29日にTBSより正式発表されたが、4月からは、川島がMCとして新しい帯番組を立ち上げるというのだ。朝の情報番組を手がけるある放送作家はこう語る。
「昨年末より噂としては出回っていましたが、年が明けた1月6日に『文春オンライン』が川島さんの名前を出して報じたことで、『やはり噂は本当だったか』となった。(立川)志らくさんMCの『グッとラック!』はスタート当初から視聴率が奮わず、昨年9月にロンブーの淳さん(ロンドンブーツ1号2号の田村淳)をレギュラーに据えるなどしてリニューアルを試みましたが、それも不発。さらに11月には、小林麻耶さんの突然降板という不運にも見舞われました。そこで、より主婦層にリーチしようと、低音ボイスが特徴的で2児の父でもある川島さんに白羽の矢が立ったのではといわれています。
川島さんはここ5年、ほぼピン芸人として八面六臂の活躍を続け、知名度的には問題なし。ひな壇芸人としてはボケもツッコミも裏回しもできる、超高性能芸人です。大喜利にも強く、多趣味で博学、タレント性がとにかく高い。あのバカリズムをして『すべてのジャンルのレベルが高く、もっと早く売れるべきだった』と評させるほどです。おまけに、そこはかとなく上品さがあり、意外にも“朝の顔”にはうってつけの人物だというわけです」
麒麟・川島にただよう上品さに、高まる芸能界の期待感
競馬、マンガ、ゲームなどに精通し、芸人としての守備範囲も相当広いと高評価の川島。しかもその語り口には、確かに上品さがうかがえる。
「博多華丸・大吉の博多大吉さんもそうですが、やはり“朝の顔”は上品さが命。志らくさんやロンブー淳さんが下品だとはいいませんが、とはいえ朝は、彼らが得意とする“歯に衣着せぬ物言い”が求められているわけではない。生活情報を面白く提供するという意味では、川島さんのほうがベターなのかもしれません。
今はレギュラーというより人気バラエティ番組への不定期出演が多い川島さんですが、朝の帯番組のMCともなれば、タレントとしてのランクは確実に上がります。今後は一時的に不定期出演をセーブしていくことになると思いますが、朝番組である程度の成功を収めたら、次はゴールデン番組での司会や冠番組を狙いにいくはず。ご本人もここは絶対に外したくないでしょうが、TBSの朝枠は長らく苦戦続き。このアウェイな風をどう追い風に変えていくのか。業界内では注目度は非常に高い」(前出・放送作家)
『M-1グランプリ』で優勝できないまま終わったことへの忸怩たる思い
一方、川島の相方の田村裕は「週8でバスケをしている」と川島がネタにするほど、あまりテレビでは見かけない存在になった。一時は『ホームレス中学生』(2007年、ワニブックス)で2億円ともいわれる印税を稼ぎ出すほど活躍していたのだが……。ある芸能関係者はこう明かす。
「確かに田村さんは週8でバスケするほど仕事がないようですが(笑)、コンビ仲は悪くないようです。しかし、個別の仕事でもギャラは折半とするコンビもいるなか、麒麟の場合は個人仕事のギャラはあくまでも別々。なので、『ホームレス中学生』のときも川島さんは1円ももらえなかったと明かしてます。おまけに当時は田村さんがブレイクしてたので、川島さんは“じゃないほう芸人”として田村さんの付き添い程度に番組に呼ばれ、ピンマイクすら付けてもらえなかったこともあったとか。その頃の屈辱的な体験が彼を芸人として強くし、今やコンビ関係も待遇も完全に逆転。『ホームレス中学生』の印税以上の額を川島さんはすでに稼いでいるでしょうし、ギャラ格差がここまですさまじいコンビもなかなかいないかもしれません。
麒麟は、第1回『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)で無名ながら決勝に進出。以降のM-1では、無名コンビが勝ち上がるのを『麒麟枠』と称されました。まさに“M-1の申し子”として島田紳助さんにもかわいがられ、何度も最終決勝まで進みましたが、優勝できないままM-1からは引退。
川島さんにはその際の忸怩たる思いが強くあり、ピンでもっと売れた暁にはコンビでやれる番組も開拓し、また漫才もやっていきたいという考えも強いようです。実際、舞台では今も週1で漫才はきちんとやっていますからね。器用にバラエティ番組で活躍する一方で、実は彼には、不器用なまでの漫才愛があるのです」
さまざまな思惑が交錯しつつも、4月から朝の帯番組MCに内定濃厚といわれている麒麟・川島。稀代の超高性能芸人が“朝の顔”としてどんな笑いを届けてくれるのか、期待して待ちたい。