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『西郷どん』視野が狭く「痛すぎる」主人公&救いもない結末にイライラMAX

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 NHK大河ドラマ『西郷どん』の第2回が14日に放送され、平均視聴率は初回と同じ15.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。

 今回は、18歳になって名前も吉之助と改めた西郷隆盛(鈴木亮平)の青年時代が描かれた。年貢の取り立てにあたる下級役人として働いていた吉之助は、農民が重い年貢に苦しんでいる現実を目の当たりにし、なんとか状況を改善しようと試みるも失敗し、自分の無力さに打ちひしがれる……というストーリーだった。

 子役を使った初回はなかなかおもしろかったが、2話目にして急につまらなくなってしまった。借金のカタに売られていく百姓・平六(鈴木拓)の娘を吉之助が青くさい正義感で助けようとすること自体は十分理解できるのだが、その後の展開がひどい。銭を何枚か取り出して借金取りに渡し、娘を取り返そうとしたのだ。さすがに借金取りも「こげなはした金、ふざくんな」と激怒。世間を知らない子どもならいざ知らず、娘を売らなければならないほどの借金が小銭程度でなんとかなると考えた18歳の吉之助少年、あまりにも痛すぎる。

 吉之助はその後、毎年同じ量の年貢を納めなければならない「定免法」が農民を苦しめているのだと、家老の調所広郷(竜雷太)に直訴。取れ高に応じて納める「検見取り」の許可を得て、意気揚々と平六の田んぼに向かうのだが、これで過去の借金が軽減されるわけでもないのに、なぜさも素晴らしいことを思いついたかのように振る舞うのかがわからない。

 しかも、現地で取れ高を調べている最中に隠し田を発見してしまい、当の農民たちに「検見取りをされると隠し田の米まで納めなければならなくなるので、今まで通り定免法にしてくれ」と懇願される始末。勝手な正義感で先走ったが、余計なお世話だったというわけだ。

 それでもめげない吉之助は、農民の窮状をしたためた上申書を藩主の嫡男である島津斉彬(渡辺謙)に手渡そうとするが、その間に再び現れた借金取りが平六の娘を連れて行こうとする。ここで余計なことをしてくれるのが吉之助の幼なじみ・糸(黒木華)。あわてて吉之助を呼びに走るが、呼んでどうしようというのか。一時的に借金取りを追い払ったところで、借金を返せなければどうしようもないのだ。

 だが、吉之助は斉彬のもとへ向かうのをやめ、娘を助けに走る。かといって策があるわけではなく、借金は必ず返すから待ってくれと頼むばかり。これで聞き入れてくれる借金取りがいるはずもない。当然のことながら娘は連れて行かれ、斉彬が吉之助の上申書を受け取ることもなかった。もし受け取っていたら史実に反するため、ストーリー上仕方ないといえばそれまでだが、あまりにも視野の狭い吉之助と糸にはイライラさせられた。この2人、決まりもしないうちから「糸の家で下働きとして雇ってやる」と平六の娘に口走るなど、考えも相当浅い。案の定、後になって「やっぱりダメだった」と謝る羽目になった。

 主人公の若き日の挫折を描くためとはいえ、救いのない結末となってしまったことで、モヤモヤ感が大いに残った。

 次週からは、薩摩藩を二分したお家騒動が描かれていくようだ。本格的な歴史ドラマがどのように描かれていくのか、注目したい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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