吉岡里帆が初の主演を務める連続テレビドラマ『きみが心に棲みついた』(TBS系)の第3話が1月30日に放送され、平均視聴率は前回から0.1ポイント減の8.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だった。吉岡は、向井理演じる星名と桐谷健太演じる吉崎という2人の男性の間で揺れ動く女性、今日子を演じている。
第1話と第2話では、今日子がかつて恐怖と甘い言葉で自分を支配した星名と偶然再会し、ふらふらと元の関係に戻っていく様子が描かれた。第3話は今日子と星名の関係が強化されただけで、ストーリー的にこれといった進展はない。
一方、星名の命令で今日子が下着発表会のモデルを命じられ、ランジェリー姿でランウェイを歩くシーンは良くも悪くも話題を集めた。
というより、第3話に対する視聴者の興味のかなりの部分は「吉岡里帆が脱ぐのかどうか」に集まっていたように思える。今日子が下着モデルになること自体は予告映像で流れていたからだ。
「結局また肩や脚を映して終わりではないか」との予想も少なくなかったが、実際には「そこまで必要?」と思うくらいに延々と吉岡のランジェリー姿が流れた。グラビア時代には惜しげもなく見せていた豊満なバストもあらゆる角度から映し出され、インターネット上には吉岡のプロポーションの良さに注目する声が上がった。
ただ、やはりと言うべきか、それほど盛り上がらなかったのも事実。いくらなんでもシチュエーションが悪すぎる。
星名に洗脳され、「下着モデルをやれば認めてもらえる」と思い込んだ今日子がガチガチに顔も体もこわばらせながら下着姿で登場してきても、「かわいそうに」「痛々しい」「見ていられない」という気持ちが先に立ってしまい、無邪気に「吉岡里穂のおっぱいでけー」と喜ぶ気持ちにはなれない。
また、吉岡の下着姿よりもストーリーのアラが気になってしまった人も多いだろう。
ランウェイで転び、まったく立ち上がろうとしない今日子を見て、誰もなんのアクションも起こさないというのは到底あり得ない。仮にもメディアを呼んでいる新作発表会の場で、アクシデントへの対応が想定されていないことなどあるのだろうか。あまりにも非現実的で白けてしまう。
また、結果的に部外者の吉崎がマイクを奪って事態を収拾し、ネットニュースになるという「事故」になったのに、社内で問題になっている様子もまったくない。いくら星名が親会社からの出向とはいえ、大切な発表会の場で素人にモデルをやらせて失敗したのに、なんのお咎めもないのもおかしい。
今日子の職場を描く場面での違和感はほかにもある。
たとえば、今日子のライバルである飯田(石橋杏奈)が今日子について「すごいしたたかで卑怯な女だと思います」と突然、先輩たちの前でディスったのもそのひとつ。流れと関係なさすぎて浮きまくっている。
また、何をしても星名に認めてもらえないと打ちひしがれた今日子が、デザイナーの八木(鈴木紗理奈)には一転して強気になり、「負けるのが怖いんですか」とあおるその精神状態もわからない。
「胸クソドラマ」であると割り切っても、星名が人を洗脳する方法や星名と今日子の共依存関係などはリアルに描けているだけに、職場パートの雑な描き方との差が目立つ。胸クソ展開ももう十分な気がするので、そろそろ星名のボロが出たり、今日子に味方が増えたり、今日子が星名の洗脳下から抜け出す兆しが見えてきたりする前向きな展開が欲しいところだ。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)