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女子駅伝、批判殺到の審判員「四つんばい」続行判断は妥当…危険な駅伝、運営元の不備露呈

文=酒井政人/スポーツライター
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選手の「想い」と「安全」を、どう確保するか

 プリンセス駅伝アクシデントは、その後も続いた。カメラが飯田を大きく映し出している間に、3位からトップに立った三井住友海上の岡本春美だ。3区は10.7kmの最長区間。9月の全日本実業団1万mで日本人トップに輝いた20歳のランナーは、後続を引き離して独走するも、終盤に動きがおかしくなった。9km付近から少し蛇行するようになり、残り1kmの表示を見ると、なぜかUターン。その後もコースを逆走するなど、意識が朦朧としていた。Uターンのコーンをしっかりまわらなかったため、2度にわたりコースを戻され、フラフラになった挙句に正規ルートを走る選手と何度もぶつかりそうになる始末。最後は道路脇に倒れ込んで途中棄権した。

 倒れ込んだ場所がたまたま緑の生えた空き地だったから大事には至らなかったものの、溝などに転落していたら、その後の競技生活に支障が出るほどのケガにつながった恐れもある。審判員から受け取った給水ボトルも落としてしまうほどの脱水症状で、身体の自由が利かない状態だった。

 日本陸上競技連盟駅伝競走規準では、審判らが危険と判断した場合などは、強制的に選手を棄権させることができる。飯田のときとは異なり、岡本は意識がほとんどない状態だったことを考えると、審判員はもっと早い段階で棄権を言い渡すべきだっただろう。

 ただ、これは結果論で、審判員の知識だけで判断を下すのは容易ではない。ボクシングの「ドクターストップ」のように、医師を帯同させて医学的見地からレースを停止できるように改善すべきではないだろうか。

 大きな事故が起きてしまってからでは遅い。日本に根付く「駅伝文化」をさらに発展させるためには、選手たちの「想い」と「安全」を確保することが必要だ。この課題に向けて、各大会の主催者ならびにチーム関係者は早急に取り組んでいただきたいと思う。
(文=酒井政人/スポーツライター)

●酒井政人
東京農業大学1年時に箱根駅伝10区出場。故障で競技の夢をあきらめ、大学卒業後からライター活動を開始。現在は「Tarzan」「月刊陸上競技」「東洋経済オンライン」などで、スポーツライターとして陸上競技・ランニングを中心に執筆中。有限責任事業組合ゴールデンシューズの代表、ランニングクラブ「Love Run Girls」のGMなども務めている。著書に『箱根駅伝 襷をつなぐドラマ』 (oneテーマ21) などがある。

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