本日18時30分、待ちに待った『ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z』(テレビ東京系)の最新作が放送される。第19弾となる今回は、実は“審判の回”といえる。田中要次・羽田圭介の“Zコンビ”は、現在2連敗中で通算9勝9敗の五分。負け越したらチーム解散というルールのため、正念場を迎えているのだ。
この非常事態に際しSNS上では、「不人気の田中・羽田コンビを引退させるため、制作側はあえて超難解なルートばかりを選んでいるのではないか」といった声が囁かれている。
本当にそうなのか、今回は過去9回の失敗を振り返り、本当に“難解なルート”ばかりだったのか、検証してみたい。
3択で“唯一の不正解ルート”を選択
まずは、完全にルート選択で失敗した回から振り返ってみる。その代表が、鳥取県・境港から長崎県・平戸を目指した第8弾(マドンナ=佐藤藍子)だ。ポイントとなったのは、最終日の午後に到着した佐賀バスセンターでの「伊万里、武雄、鹿島」の三択だった。ここで一行は3つの中で最も大都市だった伊万里市方面を目指したが、その先の長崎県佐世保市方面への最終バスはすでに終了しており、ゲームオーバーとなってしまう。
実はこのとき、伊万里以外の2ルートを選択していればゴール可能だった。その場合、嬉野温泉を経由して佐世保駅に向かうルートになる。嬉野温泉は鉄道の駅から離れているため、代わりのバス路線が充実していた。この点に気づいてよく検討していれば、平戸へ到達するルートを発見できていたハズなのだ。時間をかけて聞き込みした結果、唯一の不正解を選んでしまったことは、かえすがえすも残念。いつもあれだけ「温泉、温泉」と言っている田中要次が、なぜ一番肝心な場面で嬉野温泉をスルーしたのか、今もなお残る謎である。
聞き込み不足で正解にたどり着かず
この回は土壇場の選択で失敗したパターンだが、山梨県の富士山から栃木県の那須岳を目指した第2弾(マドンナ=舟山久美子)は、2日目夜の川越駅での上尾、桶川、鴻巣の3ルートで選択に失敗。埼玉県に土地勘のある羽田の「一番栄えているのは上尾」という意見で上尾を目指したのだが、桶川と鴻巣、特に鴻巣を目指していたら、この後の展開がグッと楽になっており、ゴールできていた可能性が高かった。川越駅で丁寧に聞き込んでおけば……と、悔やまれる。
過去の経験を過信して失敗
ある意味、消極的なルート選択で失敗したのが、前回の第18弾。元SKE48の松井珠理奈をマドンナに迎え、石川県輪島市から静岡県御前崎市を目指した旅で、ポイントとなったのは2日目、岐阜県神岡のバス営業所だった。
飛騨高山を経て中津川へ抜けるルートの情報が得られたものの、結果的に選んだのは長野県松本市〜塩尻市〜山梨県韮崎市〜甲府市へと至るルート。田中と羽田のコンビは過去2回、このルートを使っていたため、「中津川は未知が多すぎるけれど、松本・諏訪はわりと知っている」と、自らの経験に賭けた。
だが、バス旅における基礎中の基礎は、“バスが繋がりづらい県境越えをいかに少なくするか”だ。一行が取ったルートだと岐阜県から静岡県まで3つの県境越えがあるのに対し、中津川ルートだと岐阜県から静岡県まで2つで済む。それなのに県境越えに手間取るルートを選択してしまったため、一行の徒歩距離は4日間で約60キロにも及ぶ“苦行”となり、結局、静岡県の清水駅前でギブアップ。
実は、よくよく考えてみれば、マドンナがSKE48の松井珠理奈だったことから、愛知県方面の道筋が暗示されていたことに気づく。途中の足湯で松井がつぶやいた「愛知に行きたい気持ち」に田中&羽田コンビが従っていれば、成功していた可能性は少なからずあったと思われる。さらに、2度使ったルートを「“2度あることは3度ある”よろしく正解ルートにするか」と疑っていれば、と残念でならない。
消極的な選択が失敗に
こんな失敗回もある。岩手県宮古市から新潟県村上市の瀬波温泉を目指した第17弾(マドンナ=神田愛花)だ。ポイントとなったのは4日目で、12時30分前に山形県のあつみ温泉まで到達していた一行は、歩いて先に進むか、次発を待つかで議論。結局、田中の「バス旅なんだから、バスを乗り継ぐことに賭けてみよう」という一言で、15時49分発のバスを待つことにする。
だが、このとき待たずに府屋までの約14キロをおよそ4時間あまりで歩ききれば、その後はバスを乗り継いでゴールできる設定になっていたのである。ただ、この前日に一行は峠越えを含め約27キロを踏破しており、歩く余力は残されていなかったのかもしれない。
先を急ぎすぎて失敗
逆に、長時間バスを待つ決断ができていればゴール成功となった可能性が高いのが、和歌山県高野口〜三重県賢島〜和歌山県湯の峰温泉〜和歌山県潮岬がゴールとなった第15弾(マドンナ=鈴木杏樹)。
最終日、一行は13時30分過ぎに和歌山県の紀伊勝浦駅に到着。ここで16時49分発の下里出張所行きを待っていれば、途中の約2.7キロの歩きを約25分でこなすことを条件に(3時間待っていたら、体力温存できていただろう)、19時10分ごろにゴールできていた可能性が高かった。要は紀伊勝浦駅の案内所で、もう少し先のルートを聞き込んで、潮岬に繋がる串本駅行きのバス時刻の確認もしていれば、3時間待って最後の歩きに賭けるという決断もできたハズなのだ。それにもかかわらず、先を急いで出発し、挙句の果てに12キロ以上歩いて体力を消耗してしまった。結局、串本駅行きの最終バスに乗り継げず、失敗に終わってしまっている。
不運が重なりギブアップ
不運だった回もある。岐阜県岐阜城から鳥取県鳥取砂丘を目指した第4弾(マドンナ=村井美樹) だ。成否を分けたのは最終日、京都府の上夜久野から兵庫県和田山への歩きである。一行は和田山駅の手前で八鹿行きのバスを見つけながら、わずかの差で乗り逃してしまう。このバスに乗れていれば、湯村温泉経由で鳥取砂丘にゴールできていた。本当にタッチの差だった。
実は、ここで逃したバスは、もう少し上夜久野寄りのイオンを発車して和田山駅を経由して八鹿に向かう路線だった。一行の経路上にイオンはあったのだが、実際にはスルーして駅へ直行する近道を歩いてしまった。後に明かされた裏話によると、当初、一行はイオンでトイレに立ち寄る予定だったが、その手前に“しまむら”を発見して立ち寄ってしまう。つまり、そこにしまむらさえなかったら、成功していたというワケなのだ。
さらに悲劇だったのが、宮城県の塩釜市から青森県の恐山を目指した第7弾(マドンナ=秋本奈緒美)である。3日目の夜に岩手県の久慈駅前に到着した一行は、最終バスで陸中大野へ向かおうとしていた。ところが、大野の宿が満室で断念。久慈泊まりとなってしまう。しかし、この日大野まで行って宿泊できたなら、最終日の夕方にゴールできていた可能性が高かった。大野に宿がないなら、送迎を使って少し遠くの宿に泊まる方法があったのだが、そこに気付けなった。
この旅では、さらなる不運が重なる。最終日、久慈を出発し、青森県八戸まで順調に乗り継ぐも、十和田市中央のバス停で野辺地行きのバスを、わずかな差で乗り逃してしまうのだ。実は八戸からのバスが途中の渋滞で遅延しており、ここでの乗り継ぎ時間は4分。せめて3分遅れなら野辺地方面のバスに間に合った可能性も捨てきれず、成功していたかもしれないのだ。
結局、一行は恐山まで残り約10キロ、あとバス1本と迫ったむつバスターミナルでゴールを断念。それでも、この回の一行のルート取りに大きなミスはなかった。それを阻んだのは、重なった2つの不運だった。つまりは“成功に限りなく近い失敗”に終わった稀有な回だったワケだ。
結論として、かなり困難なお題だったのは、大分県別府駅〜宮崎県日南駅〜鹿児島県鹿児島中央駅〜熊本県阿蘇がお題だった第11弾(マドンナ=優木まおみ)と、石川県加賀温泉郷から三重県伊勢神宮を目指した第12弾(マドンナ=井上和香)の2本となる。前者は情報収集のために1本バスを見送ったことでゴール成功が困難となり、後者では最終日、バス案内所のオープンを待っての朝9時出発が失敗の遠因になってしまった。だだ、どちらとも情報収集のために時間を費やした上でのことで、仕方がなかったとも言えよう。
さて、肝心のバス旅Z第19弾である。今回のルートは、群馬県の谷川岳から山形県の銀山温泉を目指す、北関東から南東北を縦断する形となっている。直線距離ならば240キロほどだが、山岳地帯が立ちふさがり、大回りをしなければたどり着けない。過去の失敗を検証した限り、ルートの難しさもあるが、それ以上に情報収集不足による失敗が目立ったZコンビ。過去2回あった“カド番”はいずれも脱出しているが、果たして“2度あることは3度ある”となるのだろうか。