そんなようやく復帰した三浦だが、これからの出場はあるのだろうか。スポーツライターが語る。
「26日の試合では、横浜FCはジュビロ相手に4対0で圧勝。下位に低迷するチームとは思えないほど、横浜FCは素晴らしいサッカーを展開しました。スタジアムは、2対0になったあたりから『カズ、出るのかな』という声があちこちで出始め、後半17分に3対0になった時点では、メインスタンドからベンチに向かって『カズ出して!』と叫ぶ人もいましたね。ケガから復帰の試運転としては、最高の状況が整ったわけですが、山口素弘監督(45)は三浦を途中出場させなかった。後半41分、最後の交代選手となる3人目として山口監督が『クロ、クロ』とFWの黒津勝を呼ぶと、残念そうな表情を浮かべる観客がかなりいました。メインスタンドには、三浦の『11』のユニフォームを着たファンが結構いましたしね」
この日の観衆は6420人。今季ホームゲームで2番目の動員数(7月26日現在。以下同)を記録した。やはり、三浦見たさに人が集まったのだろうか。
「ジュビロのサポーターが大挙して押し掛けていましたし、横浜FCのホームゲームはアウエーチームの動員にかなり左右されます。とはいえ、今季の平均観客数は4911人。低迷中のここ2カ月は2000人台を記録した試合もありましたから、一定の“カズ効果”はあったといって良いでしょう。ただ、これが長く続くとは思えません。なぜなら、カズ移籍直後の05年を除けば、三浦がいるから観客が入るというデータは見つけられません。昨年のJ2観客数ランキングも、22チーム中12位ですからね」(同)
不可解な起用
また、三浦の復帰に山口監督が苦悩するのではないかという見方もある。
「横浜FCの監督を務めると、誰もが三浦の起用問題に直面します。Jリーグ発足時からの立役者、スター選手であり、日本プロサッカーの功労者ともいえる三浦の出番を待つ人は多い。でも、今の実力からすると若手を使いたい。それでも、三浦も使わなければ、という問題に悩まされるのです。これまでは2対0とリードした終盤では必ずといっていいほど三浦は投入されていましたから、26日の試合でも三浦が出てくるのではないかと思いました。しかし、山口監督は、三浦が復帰したからといっていきなり使うのではなく、これまでチームに帯同してきた選手を優先した。ここで三浦を使ってしまえば他のメンバーのやる気を削いでしまうと判断したのでしょう。監督としての威厳も見せたと思います」(同)
さらに26日に三浦が起用されなかった背景には、昨年の不可解な起用もあるのではないかという。
「J1昇格争いから大きく後退した昨年終盤、三浦はスタメンで起用される回数が増えました。アウエーでは出番すらないのに、見事なまでにホームゲームになると先発で使われた。もちろん、超ベテランである三浦の体力面を考慮してのことかもしれません。ただ、あまりに不自然な起用だとは思われていましたし、選手の間に不満や不公平感が漂っていたとしても、不思議ではありませんでした。今年の横浜FCの絶不調を見ると、三浦のほうが使えるのではないかという見方もありますが、折しも今季初めてベンチ入りした試合で、完璧な勝ち方をした。チームの状態が上がっている中で、これから山口監督は三浦の使い方に悩むことでしょう」(同前)
かつては日本代表、そして横浜FCでともにプレーをした先輩・三浦を、山口監督はどう操縦するのだろうか。
(文=編集部)