今月28日、覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕、起訴された人気男性デュオ・CHAGE and ASKAのASKA(本名・宮崎重明)被告の初公判が開かれる予定だが、一連の事件が今後、新たな展開を見せる可能性は低いと見ていいだろう。
ASKAが逮捕された直後は、週刊誌など一部マスコミの追及の矛先がパソナグループ代表の南部靖之氏に向かうなど、事件の黒幕はあたかもパソナであるような様相を呈しつつあったが、それも結局は尻すぼみとなった。
しかし、5月のASKA逮捕後の展開次第、つまり情報の出方次第では、南部氏が相当の窮地に陥っていた可能性は高い。しかし最終的に、パソナと警視庁サイドの間で“手打ち”が成立したことで、南部氏はそのピンチを脱したようだ。言い方を変えれば、南部氏を窮地に追い込みかねない“スキャンダル”は、とりあえず封印されたと見ていいだろう。
では、その“スキャンダル”とは、いったいどのようなものだったのだろうか。
そもそも、なぜマスコミの追及の矛先がパソナに向かったのかというと、ASKAとともに覚せい剤取締法違反容疑で逮捕、起訴された栩内香澄美被告が、パソナの関係者であると同時に、かつて南部氏と個人的に極めて親密な関係にあったといわれているためだ。
5月にASKAと栩内容疑者が警視庁によって身柄を拘束されたのは、栩内被告の自宅を出てすぐのことだった。実はこの時、栩内被告の自宅には、もう一人女性がいたといわれているが、その女性もパソナ関係者だったのである。
ところが、なぜかこの女性の存在については、公には伏せられることとなる。もちろん警視庁サイドはこの女性の存在を把握していたし、事情聴取も行っていた。にもかかわらず、名前も含めてその存在が外部に漏れることはなかったのである。
●伏せられた“第二の愛人”の素性
そして、この女性の存在が明るみになったのは、7月22日に開かれた栩内被告の初公判直後のことだった。ASKAには、栩内被告とは別の愛人が存在し、その“第二の愛人”は覚せい剤の使用を認め近く書類送検される、ということが一部マスコミで報道されたのである。もちろん、この報道は警視庁サイドのリークによるものなのだが、なぜか今日に至るまで、マスコミは“第二の愛人”の実名については一切発表していない。
筆者の取材によれば、その“第二の愛人”というのも栩内被告同様に、かつて南部氏とは極めて親密な関係にあり、この女性の存在が公表されていれば、間違いなく南部氏の致命傷になっていたはずだ。
警視庁サイドは、その辺りの事情を配慮したのだろうが、“手打ち”の見返りはなんだったのだろうか。もう少し時間がたてば自然と見えてくるはずだ。
(文=須田慎一郎/ジャーナリスト)