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このような中で、11年の東日本大震災以降2年連続の米価の上昇とそれに伴う消費の減退の中で、12年産米と13年産米の過剰米の民間在庫積み上がりの中で、14年産米の暴落は準備された。昨年4月の米穀安定供給確保支援機構の35万トン買い入れも焼け石に水であった。そしてコメの市況見通しがつかない中で全国の農協はコメの概算金を発表し、前述のような事態を迎えたのである。
●交付金の半減と戸別所得補償の廃止
さらに、アベノミクス農政は、全国の稲作農家を苦境に追い込んだ。民主党政権時に導入されたコメ直接支払交付金1万5000円/10aを半減の7500円にし、1万5000円/60kgより米価が下落した時はその差額を補償する戸別所得補償を廃止し、セーフティーネットを失った稲作農家は、米価暴落の影響を直接受けることになった。
コメ直接支払交付金の半減と戸別所得補償の廃止による米価暴落の直撃で一番打撃を受けたのが、担い手である農業者だった。彼らの離農が続出すれば、日本農業は崩壊の方向に進んでしまう。
問題は、どの国でも行われている農産物価格支持と所得補償を政府が放棄していることである。さらに需給調整さえ拒否し、コメの価格形成を市場にすべて任せている点である。いまやアベノミクス農政の看板である農業所得倍増計画は、農村現場では嘲笑の的である。直接支払交付金は4年後には廃止、そして生産調整の5年後の廃止決定を受け、多くの農家が展望を持てなくなっている。
今回の西川大臣の小選挙区落選は、そういった農業者の危機感と反発の賜物であり、アベノミクス農政に対する厳しい審判ともいえる。
(文=小倉正行/国会議員政策秘書、ライター)
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