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手術の腕は実績ではわからない
「まるでテレビゲームのようだ」とも言われるように、内視鏡手術は、内視鏡に取り付けられたビデオカメラの映像を見ながら行われる。平面のディスプレイでは奥行きの感覚などをつかむのが難しく、血管や臓器を避けながら病巣を摘出する難易度は相当なものだ。そのため、開腹で行う手術以上に、執刀医の技量が問われる術式になる。
死亡事例が続いていたにもかかわらず、両院が長年の間、問題視されなかったのには理由がある。群大病院では、第1外科と第2外科が実績を争っており、千葉県がんセンターでは、腹腔鏡手術を同院の売りとしていたこともあり、本来ふさわしくない症例であっても、あえて腹腔鏡で手術を行おうとする風潮があったのだ。また、内視鏡全般について詳しい医師がまだ少なく、死亡事例が続いても周囲から指摘されづらいという環境もあった。
問題が明るみに出るまで、両院とも「腹腔鏡手術に強い病院」として、病院ガイドなどに紹介されていた。ある医師は、「腹腔鏡手術自体は、安全性の高い手術です」と前置きをした上で、「手術が本当にうまいかどうかは、件数などのデータではわかりません。それより、患者が疑問をぶつけたら、丁寧に説明してくれるかどうかなどで医師の技量を見極めるべきでしょう。最後は人間性で判断するしかないと思います」と語る。
自分や、大事な家族の体を預けるに値する医師かどうか、慎重に見極めなくてはならない時代になったようだ。
(文=処哲也/フリーライター)
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