年間報酬5千万、経費タダ…国会議員という楽園 社会常識ゼロでも世襲議員だらけのワケ
世襲候補者以外が選挙で当選するのは至難のワザ
これでは、世襲以外の新人候補者が当選するのは至難の業です。努力して立派な経歴や肩書を獲得しただけでは、イチかバチかで選挙に臨んでも当選できません。うまく政党の公募に受かって公認候補にでもならない限り、国会議員になる道は相当険しいことになります。これでは、膨大な時間と金と労力を費やしてまで、議員になるというモチベーションはなかなか生まれないでしょう。
実際、初当選まで何度も立候補して落選を繰り返し、知名度を上げてようやく当選したという人もたまにいますが、ごくごく少数派です。時間と金と労力がなければ、おいそれと立候補もままならない現実があるわけです。
それゆえに、逆にいえば、その時点で勢いのある政党の公認か比例代表の候補にうまい具合に仕立ててもらえれば努力しなくても、政治的能力・見識どころか社会常識がゼロの人でも、税金を滞納している人でも、議員報酬稼ぎだけが目的の人でも、時の大衆心理の気まぐれで当選できてしまいます。あとからその人物の正体が割れて「アレレ?」という議員も生まれるわけなのです。
不祥事を起こした議員でも、すぐに離党して衆議院議員を1期だけまっとうすれば、平均3年弱で解散されても1億5000万円近くは稼げますし、参議院議員ならば仕事もヒマな上に6年間で3億円が稼げるという構図も成り立つのです。秘書の給与からも、政党支部・団体経由の強制寄付で3人分巻き上げれば、もっと懐は潤います。
ちなみに国会議員の報酬額は、マスコミが気を遣い給与相当の歳費分である約2200万円分しか報じませんが、さまざまな名目に分けた手当と、党からオコボレでもらう政党助成金まで含めると最低でも年間約5000万円の報酬額に上ります。
その他、秘書給与3人分の約2400万円の人件費は国から支給され、議員会館の事務所家賃・電話代・水道光熱費はすべてタダで、その他の便益を含め、国会議員1人当たりの直接コストとして費やされる国民の税金は1億円は下らないといわれています。とにかくオイシイのです。
能力・資質にかかわらず子弟を議員に
日本では、総理経験者をはじめ長年名前を売った議員は、自分の子弟を政治家にしないと損なので、能力・資質にかかわらず後継者にしていきます。ひ弱なボンボン育ちの子弟をサラリーマンなどにすれば、苦労するのが目に見えているからでもあるでしょう。もちろん、世間の目をくらませるために、子弟を一時的に偽装サラリーマンにする場合はよくあります。「庶民目線の修行」を行ったポーズづくりのためでもあるでしょう。