中国経済の減速傾向が強まっている。大きな経済失速はないだろうという意見もあるし、いつかはバブルが弾けるような失速が避けられないという見解もある。いうまでもなく、中国経済が大きく失速すると、日本経済への影響も免れない。
アメリカがくしゃみをすると日本が風邪をひくといわれていた時代があったが、現在の経済環境だと、中国が風邪をひけば日本も風邪をひく。中国が重篤な情勢に陥れば、日本も同様な事態となる。
不安定な株式市場は予兆か
日経平均株価は8月下旬に6日間続落し、2008年10月のリーマンショック直後以来の下げ幅となった。その後急速に持ち直したが、9月初旬にはまた大きく下落するなど不安定な動きが続いている。株価と経済はイコールではないが、株価の下落が中国の経済失速懸念を背景としていることはいうまでもない。
株価下落局面では「リーマンショック以来」という言い方が多くあったが、実際には実体経済にはまだ景気減速の直接的な影響は見られない。いくつかの企業が9月中間業績は堅調見通しにもかかわらず、通期予想は抑えるなど「減速懸念」をすでに打ち出しているが、まだ懸念でしかない。その点では「リーマンショック以来」なのは、まだ株価の下落だけである。
しかし実際に中国経済が大きく減速するようなことがあったら、その影響はリーマンショックの比ではない。リーマンはあくまで一企業だが、中国はGDP世界第2位の大国である。影響の違いは計りしれない。
不動産バブルと株価バブルが支える中国市場
振り返れば、8月末の株価下落は、中国製造業の景況感を示す製造業購買担当者指数(PMI)の8月速報値が悪化して3年ぶりの低水準にまで落ち込んだことがきっかけだった。しかしそれはひとつのきっかけにすぎず、中国経済の失速を懸念する人々がこの数値を「ほら見ろ」として行動に出たという見方もでき、それだけ失速への懸念が根強いということの裏返しでもあった。
では、その失速懸念はどこからきているのか。
その大きな要因とされるのが、中国経済成長の何割かがバブルに支えられているという側面だ。実際に日本で家電製品などの「爆買い」をしている中国人については、経済成長の恩恵を受けたごく普通の中国人もいるだろうが、その多くは株式投資や不動産バブルで大金を手にした人間だという指摘がある。