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高橋潤一郎「電機業界の深層から学ぶビジネス戦略」

異常で歪んだ中国経済、近く崩壊か 日本に訪れる「恐ろしい事態」

文=高橋潤一郎/クリアリーフ総研代表取締役

 その真偽は定かではないが、中国国内、特に内陸部の平均的労働者の給与を考えると、現地で一般的なレベルの暮らしをしている人々が札束で膨らんだ財布を持って、日本に頻繁に訪れるというのは確かに論理的ではない。やはりなんらかのバブルの恩恵で大金を得ている人が、そこには多く含まれると考えるほうが自然である。

 中国の代表的な投資は不動産と株式だが、特徴的なのは、その両方において個人投資家が多く、もともとバブルの素地があるという点である。

 中国の不動産価格の高騰は個人が「住むため」でなく、「投資のため」に個人が購入して、さらに売りやすいように未入居のまま転売して、それが繰り返されているという点が大きな問題点である。

 つまり実際にそこに住みたいというニーズよりも、高値で売りたいという個人の思惑の上に成り立っているもので、これはまさに典型的な「バブル」である。実際の需要があればそこに成長はあるが、投資目的が主体で実需がなければ、いつかはそのバブルが弾ける。

中国特有の複雑な背景

 さらに、株式投資についても中国特有の複雑な背景がある。株式の場合はすべて投資目的だが、日本や欧米のように機関投資家が主体の市場と、中国市場はまったく異なる。中国は世界的にも珍しい個人投資家が主体の市場で、海外投資家の介入は政府が限定しており、さらに市場そのものも政府の統制下にある。

 だから「バブル崩壊はない」という意見も実はあるのだが、個人投資家が主体の市場のために、体力的にいったんバブルが弾けてしまうと回復が決定的に遅れるというリスクは否めない。

 共産党の一党支配が続き、反日のなかでも日本製品への評価が高く、グローバルスタンダードとは大きな距離がある大国中国。そのバブルはいつ弾けてしまうのか。
(文=高橋潤一郎/クリアリーフ総研代表取締役)

高橋潤一郎/クリアリーフ総研代表取締役

高橋潤一郎/クリアリーフ総研代表取締役

業界紙記者を経て2004年に電機業界の情報配信会社、クリアリーフ総研を創業。
雑誌などへの連載も。著書に『エレクトロニクス業界の動向とカラクリがよ~く
わかる本』(秀和システム)、『東芝』(出版文化社、共著)ほか
クリアリーフ総研

Twitter:@clearleafsoken

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