たとえば、GEの航空機エンジンにセンサーをつけることで、故障の可能性がある場合には、飛行機が着陸した直後に検査とメンテナンスを行えるようにすることです。つまり、メーカーである同社はかつての「商品を売って終わり」というビジネスモデルではなく、「売ったあとも顧客の情報を得ることでさらに製品の改善を行い、顧客満足度を上げる」というモデルに転換しているのです。そのためにはIT技術が重要だとして、1000人以上のネット技術者を採用してシリコンバレーに研究所を設立しました。
自動車の自動運転をめぐっては、OSプラットフォームの覇権をめぐって米グーグルや米アップル、さらにはトヨタ自動車などの自動車連合が凌ぎを削っている状況です。
日本では建設機械大手コマツがいち早く、GPSやセンサーを建設機械のエンジンなどに搭載することでリアルタイムの情報を集めて、その位置情報や稼働状況、燃料残量に関する情報がわかる仕組みである「KOMTRAX」を構築しました。今後、ますます製造業のビジネスモデルはITによって変化するでしょう。
もはや製造業はITと一体化しつつあるのです。今後製造業のサービス化、IT化の流れは益々加速していくでしょう。そのためにはあらゆる経営者がITを学ぶ必要があるのです。
最後に冒頭のユニクロと東レの社長発言に対する筆者の答えは、「それこそがインダストリー4.0」です。みなさんはどう思われますか。
(文=平野敦士カール/ビジネス・ブレークスルー大学教授、ネットストラテジー代表取締役社長)
●平野敦士カール
ビジネス・ブレークスルー大学教授(学長大前研一)、株式会社ネットストラテジー代表取締役社長。麻布中学・高校卒業、東京大学経済学部卒業。日本興業銀行、NTTドコモiモード企画部担当部長を経て現職。上場企業を中心に数多くの会社のアドバイザーを務める一方、経営コンサルタント養成講座の運営や国内外での講演多数。早稲田大学ビジネススクールMBA非常勤講師、ハーバード・ビジネス・スクール招待講師等を歴任。著書に『プラットフォーム戦略』(東洋経済新報社)、『カール教授と学ぶ成功企業31社のビジネスモデル超入門!』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『カール教授のビジネス集中講義「経営戦略」「ビジネスモデル」「マーケティング」』(朝日新聞出版)など多数。
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