東京チカラめし、なぜ見かけなくなった? 餃子の王将、床ベタベタでも繁盛のワケ
競争が激しい飲食業界。特にチェーン店は、独自のスタイルが受け入れられて繁盛しても、気がついたら業績悪化に伴い経営規模が縮小して街中で店舗を見かけなくなる――というケースも多いのが同業界の恐ろしいところである。
「270円均一メニュー」を打ち出し激安居酒屋ブームを巻き起こした「金の蔵jr.」や、牛丼市場に突如として現れて話題となった「東京チカラめし」を運営する三光マーケティングフーズは、軒並み低調な外食業界で数少ない勝ち組として一時はもてはやされた。しかし、その勢いは長くは続かず、ここ数年の決算では毎回のごとく通期収益予想を下方修正しており、15年7月~9月の売上高は32億4800万円、前年同期比で7.1%のマイナスとなっている。
三光マーケティングフーズに限らず、外食業界の流行り廃りのサイクルは非常に速い。ブームになりながらもすぐに下火になってしまった店舗や営業スタイル、サービスは、何がいけなかったのだろうか。立教大学経営学部教授の有馬賢治氏に、マーケティングの観点から分析してもらった。
話題性だけでは一見様で終了
「一時的に流行って急速に店舗数を増やしても、短期間で客足が遠のいてしまったというチェーン店は過去にも多くあります。その原因は、トライアルの顧客が一巡した段階で『また来たい』と思わせられなかった点にあるでしょう。外食業界で重要なのは、リピーターをいかに獲得するかということです。そのためには、少なくとも期待に応えるサービスを顧客に届ける必要があります。低価格を強く打ち出した店舗でも、提供される料理が相応にコストカットされていると明らかにわかれば、顧客の足は遠のいてしまい再来店することはほとんどありません」
廃れた激安居酒屋チェーンは円安に伴う原材料高の影響で、提供するメニューの品質低下を消費者にも隠しきれなかったという要因もあるだろう。「話題になっているから行ってみよう」という消費者心理は、若者を中心に多くの人が持っている。しかし、それは裏を返してみれば「一度行ったからもういいかな」という気持ちになりやすいということだ。経営側はそうならないようにする努力が必要だと有馬氏はいう。
では、「一度で十分な店」と「また行きたくなる店」を分けるものはなんであろうか。