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青汁王子・三崎優太、脱税事件の裏側…YouTubeで人気がV字回復、政治家転身の噂も

文=道明寺美清/ライター
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「三崎優太 青汁王子」YouTubeチャンネルより
「三崎優太 青汁王子」YouTubeチャンネルより

 現在、多くの会社を所有する投資家の三崎優太氏。”青汁王子“の愛称でメディアへの露出も多く、その知名度がうなぎ登りだった2019年、1億8000万円の脱税容疑で逮捕された。当時、セレブリティな日々をSNSなどで発信し、インフルエンサーとしても人気があったが、連日の脱税報道で名声は一気に地に落ちた。

 それまでの羨望の眼差しから一転、SNSで多くの誹謗中傷を受け、再起は不可能ではないかとの声もあったが、三崎氏のビジネスは磐石だった。むしろ会社の業績は脱税事件以前よりはるかに伸び、今は渋谷の一等地に会社のオフィスを構えている。

 さらに、誹謗中傷さえも逆手にとり、炎上するような投稿を多数発信し、脱税事件当時3万人だったフォロワーは現在、100万人を超えている。また、2020年に始めたYouTubeチャンネルは、現在30万人を超える登録者を持つ。それほど多くの人が三崎氏を支持する理由は何か、直接話を聞いた。

脱税事件は消せない

 三崎氏を語る上で避けて通れないのは、脱税事件だろう。高校退学後に見よう見まねで始めたアフィリエイトで1億円もの収益を上げ、18才で株式会社メディアハーツを立ち上げた。若い経営者だからこその悩みや問題も数多くあったが、青汁の通販を始めたところ、年商130億のビッグビジネスとなった。

「10代や20歳になったばかりの頃は、単にお金への執着でした。しかし、”青汁王子”と呼ばれるようになった頃には、周りの人への恩返しの意味でも会社を大きくしたい、成功させたいという気持ちが大きくなっていました」

 青汁王子としてメディアでも取り上げられるようになり、テレビ出演のオファーがあれば、ビジネスのためと喜んで出演したが、その裏では忠告されることもあった。

「周りからは『絶対にテレビなんか出ないほうがいい。潰されるよ』という声もありました。僕としては、せっかく声をかけていただけたなら、と出ていましたが、目立ってしまったのかなと思います」

 SNSに高級車や腕時計、豪遊ぶりを載せると「税務署に目をつけられる」などと冗談混じりに言われるが、実際に国税局員が三崎氏のもとを訪れた。

「2018年1月30日に国税が来てからの1年間、本当に大変な思いをしました。当時、会社は大きな利益が出ていたので当然、税金を支払うべきと思っていましたし、実際に14億4000万円の納税をしていました。それだけの納税をしていた僕に向けられた容疑は、1億8000万円の脱税という内容でした。それについては国税が判断した通りの決着となっていますが、今でも私は脱税をしていないと思っています」

 脱税容疑のインパクトは強く、世間の目は厳しいものだった。

「国税によって、まるで悪人にされてしまいました。税金をしっかり払っても世間の皆さんが僕を見る目は厳しく、当時は僕の言い分を聞いてもらうことはできませんでした。じゃあ、どうやって僕の話を聞いてもらおうかと考えて始めたのが、炎上商法みたいなことで注目を集めることでした。最初はTwitterで炎上覚悟の投稿を続けました」

 当時、Twitterのフォロワーは3万人だったが、炎上を繰り返し、100万人を超えた。炎上すれば誹謗中傷も多いSNSだが、三崎氏はまったく傷つくことはなかった。

「現在、誹謗中傷は少なくなりましたが、当時はかなり多くありました。だけど、海外へ行こうと思っていたので、どうでもいいという気持ちでした。最後にやりきってから海外へ行くつもりでしたが、どんどんフォロワーが増えていき、誹謗中傷よりも『がんばって!』という応援の声が増えていったんです」

 応援してくれる声が増えていくに従い、三崎氏の気持ちは変わっていった。

「僕を信頼し、応援してくれる人がいるなら、もう少し日本でがんばってみようかなと思ったのが2019年の末でした。しかし、一方で仕事をする上で脱税のことをネタにする人もいるんですね。このままでは根本的に変わらない、もっと発信力を持とうと、2020年の1月にYouTubeを始めました」

本当の意味での事件の終わり

 三崎氏のYouTubeチャンネルは、これまでのテレビ出演やメディア報道では知ることができなかった「真っ直ぐさ」「人柄の良さ」が垣間見え、多くの視聴者から「面白い」「好感が持てる」とのコメントが寄せられた。

「これまでさまざまな企画を行い、ぼったくりバーへ行ったり、オタクに変装してキャバクラへ行ったりという、面白おかしい動画も上げてきました。しかし、そういった動画は僕じゃなくてもいいと思っています。いろいろな動画をつくり、ようやく僕が発信するべきはビジネスについての僕の経験だと確信するに至りました」

 実は、つい先日、三崎氏にとって大きな転機を迎えたという。

「実は、脱税事件の際に国税に押収された証拠が返却されていませんでした。あれから3年が経ちますが、3年間も証拠品を拘束するというのはおかしいことなんです。何度も弁護士から返却をお願いしても返してくれなかったのですが、SNSで発信したところ、ようやく返却されることになりました」

 社会的には、懲役2年、執行猶予4年という判決が出たことで過去の事件となったが、三崎氏にとっては、終わっていなかった。

「押収されたもののなかには大切なものもありましたし、それらが返却されることで、僕の中ではようやく本当の意味での終わりとなりました。また、時間が状況を変えてくれて、言いたいことを言える風向きになったと感じています」

ビジネスチャンネル

 脱税事件によって離れていった人もいたが、逆に信頼をより深める結果となった人たちもいる。

「脱税事件後も『大変だろうから一緒にやろう』と声をかけてくれた皆さんには、感謝しかありません。そういった皆さんは、報道などに惑わされることなく、変わらず信頼を寄せてくれました。応援してくれる皆さんに何かを返したいという気持ちもあります」

 YouTubeに関しても、次のステップへ進もうとしている。

「今後は、インタビューや対談形式でビジネスにフォーカスし、ビジネスチャンネル的発信を多くしていきたいと考えています」

 その言葉通り、”冷徹な虎”と呼ばれた南原龍樹氏や、多くの社会現象を巻き起こしたavexの創業者、松浦勝人氏などとのコラボ動画は、三崎氏にしかつくれない動画だと話題になっている。

 YouTubeは、制作会社を立ち上げ、専属のスタッフが制作している。台本は書かず、ありのままをさらけ出している。その点が視聴者に響くのかもしれない。

 政治家へと転身するのではないかとの噂もある三崎氏だが、あくまで噂にすぎない。三崎氏の目指すものは、政治家では実現できないという。

「僕は政治家になる気持ちは、まったくありません。僕は、SNSでの発信を見て共感したり、自分でビジネスをやってみようという人が増えたらいいなと思っています。そう意味では、視聴者の皆さんと一緒に日本を変えていけたらいいと思っています」

 コロナ禍にあって従来の価値観や当たり前が崩れつつあり、フリーランスや起業を志す人も増えている。三崎氏のような発信こそ、今の時代に必要とされるものかもしれない。
(文=道明寺美清/ライター)

道明寺美清/フリーライター

道明寺美清/フリーライター

薬剤師として26年間医療に関わった経験から医療ジャーナリスト、美容研究家としても活動。夕刊フジ、ビジネスジャーナル等で連載を持ち、ペンネーム / 道明寺美清でも多数執筆をこなす
道明寺美清オフィシャルブログ

Twitter:@eri_yoshizawa_

Instagram:@medical_journalist_erie

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