「青汁王子」としてSNSなどでも活躍する実業家の三崎優太氏と、数多くの人気配信者が所属するYouTuber事務所のライバーが、激しい争いを繰り広げ、世間の関心を集めている。
事の発端は6月28日。業界最大手のYouTuber事務所UUUMとライバーが資本業務提携を発表したあと、ライバーの飯田祐基会長の「これからもクリエイターひとりひとりを幸せに出来るよう尽力致します!」とのツイートに、三崎氏が「うそばっか」とリプライして、その後に飯田氏とライバーへの不信感を暴露し始めた。
三崎氏とライバーは、「メンズアイドル武道館プロジェクト」として、オーディション合格者6名と三崎氏の7名で結成したアイドルユニット「SNiii」が武道館ライブを行うことを目指すプロジェクトを発足。三崎氏はこれに1億円の私財を投じ、ライバーがプロジェクトを推進することになっていた。
三崎氏はこれまでに6000万円ほど投入しているが、その使途が不透明だとして、飯田氏とライバーに対して不信感を示す。三崎氏が不審を抱く点としては、人件費が水増し請求されている、また当初、飯田会長が「利益を取らない」と発言していたにもかかわらず、請求額と実際にスタッフに支払われている額に隔たりがあり、“中抜き”しているのではないか、という疑惑などである。
三崎氏は、信頼が壊れたことでこれ以上のプロジェクト推進は不可能と判断、7月16日にデビューライブを控えていたなかでSNiiiの解散を発表した。その後も、TwitterやYouTubeなどで飯田氏とライバーの問題点を指摘している。
一方、飯田氏はこの問題に対して公の場では口を閉ざし続けた。そんななか、ライバー所属の人気配信者「コレコレ」が生配信でこの問題を取り上げると、飯田氏はリモートで出演。だが、飯田氏は「不正はしていない」と潔白を主張しつつも、三崎氏が指摘する疑惑については供述を拒否。それでも、コレコレの仲介で“三者会談”をすると、お互いにこの件について今後は公言しないと約束して和解。
だが、翌日に三崎氏は“新たな疑惑が判明した”として、再び飯田氏とライバーの疑惑を追及。
その疑惑の中身としては、「使用していないスタジオの利用料が請求されている」「作詞家・作曲家に実際に支払われている額と、三崎氏への請求額に乖離がある」といった不正請求だ。ほかにも、ライバー社が将来的な上場を目指していることから、過去に逮捕歴のある三崎氏と直接取引はできないとして便宜上、別会社を介して取引していたが、その会社も利益を抜き取っており、途中からその会社を介さず取引を持ちかけるなど、一貫性のない対応にも不信感を抱いていると、三崎氏は主張している。
これらの件につき、Business Journal編集部は直接、三崎氏に話を聞いた。
――まず、飯田氏は確かに「利益は取らない」と言ったのか。また、そのやり取りの証拠はあるのか、契約書には記載されているのか。
「その会話は録音してある。それに対するライバー社の回答は『飯田氏個人の利益は求めないと言ったが、企業として利益を求めるのは当然』というもので、稚拙な言い訳だと思う。企業の会長が利益を放棄しているにもかかわらず、企業としては利益を求めるというのは理解できない。
とはいえ、利益を取ってもらうのは、別に構わない。しかし、実際に働いていない人の人件費や、使っていないスタジオ代を請求されているのは受け入れられない」
――7月2日付でライバー社が三崎氏への反論文を出したが、それに対してはどのように思うか。
「いずれも稚拙な反論だと思う。たとえば、実際に働いていない人物の人件費が計上されている件について、『当該人物の業務をほかのライバー社のスタッフで肩代わりした』として請求されているが、納得できない。また、未使用のスタジオ代を請求している件については、明らかに架空請求であることを認めている。『返金する』としているが、返せばいいというものではない」
――ライバー社、また飯田氏個人に対して求めることは何か。
「YouTubeなどでも言っているが、利益を取られていること自体はいいとして、架空請求があったことは認めて謝罪・返金してほしい。また、ライブを楽しみにしていたお客さんにきちんと対応するか、こちらが対応するための引継ぎを行ってほしい。すでに私自身や弊社スタッフに対して誹謗中傷などの攻撃を受けている。それらをやめさせるためにも、非を認めてほしい」
三崎氏は、公的な場でライバー側の架空請求等を明確にし、損害賠償を求めたいとの意向を示し、裁判もやむなしとの姿勢だ。
この三崎氏の主張をどう受け止めるのか、ライバー代表取締役CEO・市川茂浩氏に話を聞いた。
「弊社は三崎氏から一方的かつ事実とは異なる誹謗を受け続けており、当社からの2回のリリースはいずれも三崎氏からのいわれなき誹謗への回答をやむなくしているに過ぎません。私どもはすでにリリースで債権債務の清算といわれなき中傷の停止をお願いしており、それをお願いするのみです」
現時点で双方の主張は隔たりがある。それぞれ、裁判沙汰となることもやむなしとの意向が見えるが、はたしてどのような結末を迎えるのだろうか。
(文=編集部)