ところで、結婚紹介所の調査では、40歳になった男性の9割以上が、結婚相手として20代の女性を希望しているそうです。「確実に産める女性のほうがいいから」というのがその理由とのことです。でも彼らに取材すると、軒並み「せっかくこの年齢まで待ったわけだから、若い子の方がいい」と答えます。だから、同年代同士の相手選びはなかなか難しい。残された結婚の選択肢としては、「割り切って、稼ぎは低くても年下の男性と」あるいは「バツイチでいいから、年上の頼れる男性と」。さもなくば、子どもが産めなくなっても、「一緒にいたい」と思える人が現れるまで、ひたすら待ち続けるでしょう。
2005年時点で未婚だった35~39歳の女性のうち、その5年後の10年までに結婚した人はわずか1割です。つまり、35歳を超えてからは、独女の9割が結婚しなかった。だから、これから結婚するのはかなり難しいだろうということは、彼女たちもうすうす気付いてはいる。でもあきらめない、女を捨てたくないのが、女ゴコロなんです。
――アラフォー独女をサポートするには、どうしたらいいのでしょうか
牛窪 ひとりで行っても心地いい空間やサービスを、もっと増やすことですね。「おひとりさま」で気軽に行けるレストランなども増えてきましたけれども、まだまだ少ないですね。
もうひとつは、産まないで、結婚しないで、幸せになったという声がまだあまり聞こえてこないので、そういうモデルケースを増やしていくことでしょう。一般的なOLの「アラフォー独女」が4000万円も貯金しているということは、将来に対する不安の裏返しでもあるわけです。とくに女性は、アラフォー過ぎても年収が上がりにくい。自身の老後を真剣に心配し始めるので、「結婚しないで働き続けて、この先どうなるのか」を考えると、ますます不安になるわけですね。
そして、今以上に大きな問題になってくるのではと思っているのが、介護です。介護施設(殊に特別養護老人施設)への入居希望者の数は、すでに介護施設の収容人員を大きく上回っており、厚生労働省は今後、「できるだけ家で介護を」との方針です。特に団塊世代は、人口が多い。ますますベッドは不足し、団塊ジュニアを含むアラフォー世代が介護する年齢に入るころ(約10年後)には、誰がその面倒を見るかが大問題になります。男性も含めて、現アラフォーからが独身や共働きが急増した世代なので、国も真剣に考えて欲しいと思います。
こういう問題を解決し、彼女たちが安心して老後を迎えられるような絵を、きちんと描いてあげないといけない。逆にそうすれば、アラフォー独女はもっともっと元気で輝き続けるでしょう。
――ありがとうございました。
(構成=マサミヤ)
●牛窪恵(うしくぼ・めぐみ)
マーケティングライター、世代・トレンド評論家、有限会社インフィニティ代表取締役。1968年、東京都生まれ。日本大学芸術学部映画学科(脚本)卒業後、大手出版社に入社。5年間の編集およびPR担当の経験を経て、フリーライターとして独立。2001年4月に、マーケティングを中心に行う有限会社インフィニティを設立。『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系列)、『キャスト』(朝日放送系列)、『あさナビ』(テレビ朝日系列)などに出演中。トレンドやマーケティング関連の著書が多数あり、「おひとりさま(マーケット)」(2005年)、「草食系(男子)」(2009年)は、新語・流行語大賞に最終ノミネートされた。近著は『アラフォー独女あるある! 図鑑』(扶桑社)。
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