
「業績が伸びる企業=株価は上がる」に潜むワナ
株式専門紙記者を皮切りに、証券人生30年の経済ライター・岡本昌巳。ブログ「今日の岡本」はほぼアルコールネタで埋め尽くされているが、独自理論に基づく株式相場の流れを重視した銘柄発掘力は群を抜くと評判。そんな岡本氏が、相場師が知っておくべき"常識"を指南する。ITバブルの代名詞、堀江貴文氏。高卒でゼロから
起業し、フジテレビとタイマン張るまでに。
『堀江貴文のカンタン!儲かる会社のつくり方』
(ソフトバンククリエイティブ)
長年、相場の世界で生きてきたなかで実感したことは、「成功体験よりも失敗体験のほうが役立つ」ということだという話を前回しましたが、これから何回かに分けて「具体的にどんな失敗をしてきたか?」を紹介していこうと思います。
今回は「相場の物色の流れの大切さ」についてですが、その前に前回の宿題です。
「業績が伸びる企業の株価は上がる、これは正しいでしょうか?」
すでに株価が安値から数倍、10倍などにまで大きく上がっていたり、PER(株価収益率)が100倍以上、PBR(株価純資産倍率)が10倍以上になっているなど、株価の割高感が著しいときは別ですが、基本的には「正しい」といえます。
PER、PBRの意味についてはネット検索で調べてください。自分で調べる姿勢でないと伸びません。でも、簡単に説明しておきましょう。ただ、慣れないとちょっと難しく感じるかもしれませんので、とりあえず飛ばして、もう少し株に慣れてから、再度お読みになってもいいと思います。
PERとは?
「企業が今期1年間で儲けると予想される1株当たりの利益に対して、その株が現在どれだけ評価されているかの尺度」
例えば、1株利益予想が10円で、株価が200円でしたら、200÷10=20倍ということになります。ちなみに4月27日時点の東証1部銘柄平均のPERは17.1倍です。理論上、今後儲けるであろう17年分の利益を、株価が織り込んでいる【編註:将来の動きや情報が、既に株価に反映されている】といえます(株価の説明では、この「織り込んでいる」という言葉はよく使われますので、覚えておいてください)。
PERが低ければ低いほど、「その銘柄は割安だ」と考えていいでしょう。ただ実際は、業種によってばらつきが出たり、資産売却など本業以外の特別な利益が要因で、1株利益が膨らんでしまうケースがあり、いろいろ複雑な面があります。とりあえずここでは、「PERが低ければ割安」とざっくりと考えていただければと思います。
上記の内容をそのまま当てはめると、PERが100倍というのは、100年分の利益を織り込んでいることになりますが、さすがに100年分は織り込みすぎのようで、マーケット関係者はPER100倍を上限水準と見る向きが多いようです。
PBRとは?
「前期の1株当たりの株主資産に対して、何倍の株価で買われているかの尺度」
1株当たりの株主資産とは、
「仮に会社が事業をやめて解散した場合、株主が受け取れるお金の理論上の金額」
です。例えば、1株当たりの株主資本が100円で、株価が40円でしたら、PBR は40÷100=0.4倍となります。「株価は解散価値に比べ60円割安」といえます。PBRも「低ければ割安」といえます。でも、さすがにこれが10倍以上なら割高でしょう。
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