ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 米社、エルピーダ支援の狙いとは!?  > 2ページ目
NEW
全預金が、もう5億円しかない?

マイクロン、エルピーダ支援の狙いは衰退事業の押し付け!?

【この記事のキーワード】,

 こうした中、マイクロンはスマートフォン(高機能携帯電話)などモバイル向けのDRAMに活路を見出す。モバイル向けはパソコン用とは製造手法も異なり、付加価値も高い。量産レベルではサムスンが独走するが、エルピーダも技術を保有しており、マイクロンがエルピーダを傘下に収めたのも、この技術の取得が目的といわれる。ただ、アナリストの多くは「いずれキャッチアップされる技術。DRAM自体は枯れた技術であることは間違いない」と優位性に疑問を呈する。

米マ社はDRAM事業をエルピーダに集約したかっただけ?

 エルピーダ争奪戦には、東芝やSKハイニックスも参加したが、最終入札前に離脱した。東芝関係者は「モバイル用DRAMを持っていれば、NAND(USBメモリなどに使用される高速記憶装置)と組み合わせて提供できるため商機の幅は広がる。それでもエルピーダのDRAM事業を丸抱えするデメリットのほうが大きい」と漏らす。韓国紙は「ハイニックスの入札は、マイクロンのNAND向けの経営資源を少しでも減らすための陽動作戦だった」と指摘する。つまり、落札価格をつり上げるための参加に過ぎず、DRAM事業が本当に欲しかったわけではない、ということである。マイクロンがモバイル用DRAMという短期的な利益に目がくらみ、ババを引いた可能性もある。

 ただ、外資系アナリストは「マイクロンも中長期のDRAM衰退は予期しており、再建案にそれは見え隠れする」と語る。マイクロンの構想では、本体はスマホの記憶媒体に使うNAND型フラッシュメモリに特化し、DRAM事業はエルピーダに集約する方針を掲げている。もちろん、事業運営上生産性は高まるが、マイクロンは成長性が見込めるメモリに特化し、衰退事業であるDRAMをエルピーダに片寄せしたともいえる。「いつでも切れる」状態を整えたと見るのは勘ぐり過ぎか。

 会社更生法手続きの再建計画提出期限は8月21日。再建の一歩になるのか、それとも将来の大リストラに向けた一歩となるのか――。
(文=江田晃一/経済ジャーナリスト)

<関連記事>
エルピーダ、倒産の裏で、銀行・市場を欺いていた!?
エルピーダ支援先内定(?)も、台湾工場以外は大量リストラか?
エルピーダ身売りの舞台裏

BusinessJournal編集部

Business Journal

企業・業界・経済・IT・社会・政治・マネー・ヘルスライフ・キャリア・エンタメなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト

Twitter: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

Instagram: @businessjournal3

ニュースサイト「Business Journal」

『カリスマ出口汪の人生を変える!最強の「話し方」塾』 不利なことを押し付けられないための「話し方」 amazon_associate_logo.jpg

マイクロン、エルピーダ支援の狙いは衰退事業の押し付け!?のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!