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大口産出国・米国も輸入国へ逆戻り?

原発停止で人気急騰シェールガス、早くもバブル崩壊!?

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米国企業も続々と食指を伸ばす
シェールガスだが...
 5月5日、北海道電力泊原子力発電所の運転停止で、国内で稼働する原発がゼロになった。6月8日に野田総理は「関西電力大飯原発は再稼働すべき」と発言し、同原発は再稼働に向け大きく舵を切ったが、夏までに再稼働する見通しが立っているのは、この大飯原発のみである。


 7月から再生可能エネルギー(再生エネ)の全量買取制度がスタートするが、いずれの再生エネも発電の安定性に欠けるため、原発の代替電源にはほど遠い。こうした電力事情を背景に、にわかに人気が沸騰してきたのがシェールガスだ。


 シェールガスとは泥岩の一種の頁岩(シェール)層に貯留している天然ガス。採掘が難しく、以前はほとんど生産されていなかった。しかし2000年代に入り、500〜1000気圧の強圧力で水を注入し、頁岩に割れ目をつくって採掘する技術が開発され、低コストでシェールガスを生産できるようになった。それで一気に生産量が拡大したのだ。生産拡大は世界のエネルギー事情を一変させる可能性があるため、「シェールガス革命」とも呼ばれる。電力不足が叫ばれているわが国では、電力不足解決の切り札とされている。


米国が天然ガス輸出国になる?


 原発の相次ぐ稼働停止で火力発電所がフル操業状態となり、その主力となっているガス発電用の天然ガス輸入量が急増している。11年度の輸入量は、前年度比18%増の8318万tと過去最高になり、31年ぶりに貿易収支が赤字に陥る一因にもなった。


 日本は世界最大の天然ガス輸入国にもかかわらず、世界で最も高い価格で買わされている。石油価格と連動したスポット価格のガスを長期契約で調達しているため、昨夏は米国相場の4倍、欧州相場の2倍で購入しているのだ。このことも、シェールガス人気の一因になっている。


 シェールガス田の開発は、主に米国が進めている。在来型の油田・ガス田から採掘するガスの生産量先細り懸念と、カナダからのガス輸入減少が動機となって、自国のシェールガスに着目したためだ。


 米国エネルギー省は、国内のシェールガス埋蔵量を61兆9920億立法メートルと推定している。米国の年間消費量は約7000億立法メートルなので、今後90年近く賄える量だ。20年代にガス消費量の30%を輸入する必要があると予測されていた米国が、「シェールガス革命」により、16年頃から輸出国に転ずる見通しになってきた。


 この情報を掴むやいなや、日本企業は「ぜひシェールガスを売ってほしい」(都市ガス大手)、「ぜひ日本向け販売ルートを確立したい」(商社大手)と、エネルギー調達担当者が米国のエネルギー企業へ日参するようになった。


 米国の天然ガス相場価格は、現在100万BTU当たり2ドル台。これに液化・輸送コストを加えても9ドル程度。日本が産油国から買わされている、長期契約のスポット価格の半値だ。


 住友商事は4月下旬、米東部メリーランド州のシェールガス開発プロジェクトで、年間230万tを調達する方向で協議を開始。17年以降の輸入を計画していると発表した。すると三菱商事と三井物産も、カリフォルニア州のエネルギー大手と年間800万tの調達で合意したと発表。5月23日、東京電力も経産省の電気料金審査専門委員会に提出した資料の中で、米国産シェールガスを輸入する意向を示している。

『回復力~失敗からの復活』


著者は東電原発事故調の委員長

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