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モディファイCEO小川浩「Into The Real vol.1」

「ノマドワーク」「スタートアップ」ブームは軽薄である

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モディファイCEO・小川浩氏。
AKB48・板野友美など、ホリプロ所属のトップアイドルやアーティストのオフィシャルサイト、Facebookページをソーシャルメディアマーケティングの側面からサポートしているモディファイ。そのCEOである小川浩氏は、SNSの原型となるWeb2.0時代の到来をいち早く提言、IT業界のみならず、多くのビジネスパーソンの支持を集めている。そんな“ヴィジョナリスト”が、IT、ベンチャー、そしてビジネスの“Real”をお届けする。

 最近、ノマドワークというバズワードが、ネット上で散見されるようになっている。「ノマド」とは遊牧民のことであり、意味としては「オフィスではなく、カフェやライブラリなど好きな場所で働くことができるワーキングスタイル」を指しているようだ。 

 同時に、言葉の用法として、会社員ではなくフリーランスとして働くことを礼賛するニュアンスを持っている。要は「遊牧民的な自由を、素晴らしいものである」と決めつけているところから、バズっているわけだ。「組織に属さず、自由気ままに場所を選ばず仕事をする」ということに対する憧れを象徴するのが、ノマドというバズワードなのだ。つまり、単なるワークスタイルであるべきものを、ライフスタイルにまで意訳してしまっている。

ノマドが裕福だったことはない

 しかし、(ジンギスカンの)元が崩壊して以来、遊牧民が経済的に裕福であったためしはない。

 食糧を求めて移動を繰り返すかのような生活に、なぜ憧れるのだろうか?

 そもそも、無線LANや3G回線に常時接続できるノートブックやタブレットなどの普及によって、カフェでもどこでも仕事ができるというワークスタイルは、いまや誰にでも許された自由であるが、それで十二分な収入を得られるかどうかはまったく別物だ。

 一方で、最近は小規模投資を受けることによって、スタートアップ(新興企業)の起業を目指すこともまた、学生や若手のビジネスマンの間で、一種のブームになっているらしい。

 米国では、ビジネスアイデアを持つ若者に数百万円程度のミニマム出資をしたうえで(この時期の投資をシードマネー、投資機会をシードラウンドという)、より大きな規模の出資に応じてくれる投資家(この時期の投資機会をシリーズAという)を見つけられるような指導をするという投資スタイルで成功している、Y CombinatorというVC(ベンチャーキャピタル)がいる。

 このY Combinator流のクローンVCが米国でも日本でも続々と生まれており、「彼らからの投資を受けることが、とてもクールである」という共通意識が生まれているのだ。ただ、実際にはシードAにたどり着けないスタートアップも多いし、特に学生ベンチャーの場合、Y Combinatorクローンからのシードマネーを受けることそのものをゴールとしてしまい、その後の継続に熱意を持たず、努力を惜しむ者も多いと聞く。