1180円……。牛丼約4杯分……。
6月の売上高(既存店ベース)は2社が前年割れした。外食最大手、ゼンショーホールディングスが展開する「すき家」は、前年同期比1.8%減と10カ月連続の前年割れ。松屋フーズの「松屋」も5.6%減と3カ月連続のマイナスとなった。一方、吉野家ホールディングス傘下の「吉野家」は0.1%増と3カ月ぶりにプラスに転じた。ただし、吉野家の客数は3.7%減で6カ月連続でマイナスである。
近年、夏の新たな風物詩として定着したのが、すき家と吉野家のうな丼合戦だ。2007年から毎年、6月になるとうな丼を提供してきた。最も需要が高まる7月後半の土用の丑の日までの期間限定商品で、ウリは低価格。開始初年は、吉野家が490円、すき家が550円と、うな丼としては破格の値段が人気となり、サラリーマンが列をなした。
ところが、今年、稚魚の不漁により、うなぎの価格が高騰したため、両社は大幅な値上げを余儀なくされている。すき家は、10年まで580円にとどめていた価格を、11年には100円値上げし680円に、今年はさらに100円値上げして780円に設定した。吉野家も今年は100円上げて650円で提供している。
うな丼の値上げが、どう影響するか――。それを占うのは、6月の既存店の売上高だ。とりわけ、すき家にとって、書き入れ時には、客の4分の1がうな丼を注文するほどの人気メニュー。うな丼を昨夏より100円値上げしたことで、客単価は4.7%増となったが、客数は6.2%減と落ち、売上高は前年実績をカバーできず1.8%減となった。
昨年は、うな丼を100円値上げしたにもかかわらず、売上高を伸ばした。6月は客数が11.1%増で、売上高は6.0%増。7月は客数が10.6%増、売上高は9.6%増と絶好調だった。客数の増加が2ケタに達したのは、まさに、うな丼効果だった。
だが、今年は、うな丼をさらに100円値上げしたことで、爆発的に伸びた昨年の反動がきたようだ。うな丼780円に割安感はない。
これに対して、吉野家は、客数は3.7%減だが、うな丼の100円の値上げ効果で、客単価が3.9%増となり、売上高は横ばいを維持した。うな丼はすき家とは違い、吉野家の主力メニューではない。