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【5】中国とネットワークが鍵!? SCEがソニーの"救世主"となる理由

【検証】プレステ、PSNで、ソニーの業績回復なるか?

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「SCE」HPより

「ソニーを変える」。4月1日よりソニーの社長兼CEOに就任した平井一夫氏は、経営方針説明会でソニーの変革を強調した。「変革」「再生」というスローガンは、前CEOであるハワード・ストリンガー氏の時代から繰り返し掲げられてきたものだ。PlayStation(以下、PS)などのゲームを扱うソニー・コンピュータエンタテインメント(以下、SCE)出身の平井氏は、ロイターのインタビューで「(ハードだけでなく、ネットワークを通じたコンテンツ配信も重視する)SCEのビジネスモデルをソニー全体に応用していく」という方針を掲げた。「ネットワークサービス」は、ストリンガー時代より重要経営課題とされ、平井氏がSCEの代表取締役社長と兼任して、ソニーの執行役EVPに就任した2009年頃から携わってきた事業だ。しかし、この方針は従来のエレクトロニクス製品中心のソニーのイメージを覆すものといえる。なぜこのタイミングで、SCEという、いわばソニーの傍流に期待がかかっているのだろうか。その理由を識者の言などから探ってみよう。

 SCEの事業規模が、ソニー全体の中でもかなり大きいのは事実だ。11年度のゲーム事業は、売り上げとしては7400億円超と、エレクトロニクス事業の王様として君臨してきたテレビ事業の8400億円に迫る勢いとなっている。

 だが、その事業自体が好調かというと、そうとも言い難い。次世代携帯機として期待を集めたPSVitaは、発売から3カ月とたたない今年2月の単月販売台数が前世代機であるPSPのそれにすら及ばない状況で、滑り出しの不調が目立つ。PS3も、世界累計出荷1億5000万台を記録し市場トップを独走していたPS2に比べると、かつてほどの支配力を得られてはいない。

 さらに大きな問題は、ゲーム市場の多様化だ。いまや、任天堂といったゲームメーカーだけでなく、フェイスブックや携帯アプリなど、無数のプラットフォームがゲームコンテンツを提供している。ゲームアナリストの平林久和氏は「独自プラットフォームを基盤としたビジネスはリスクが大きくなっている」と指摘する。

「PS2が主流だった00年代前半までの時代は、ゲーム専用機であることの強みがありました。高価なPCと同等以上の性能のゲームを、数万円のハードで提供できたわけですから。しかし、現在ではPCやスマートフォンの価格低下と性能向上が進んでおり、WindowsPCやiPhoneといった、ほとんどの人が持っている汎用端末がゲームのプラットフォームとして機能するようになっています。わざわざゲーム専用機を作るというのは、開発費用がかかるだけでなく、ユーザー数をハードの購入者だけに限定する結果になりかねない」(平林氏)

 ゲーム産業を研究する立命館大学の中村彰憲教授も「SNSゲームの台頭に伴うプラットフォームの多様化で、コアゲーマーからカジュアルゲーマーまですべてを一社で取り込む時代は終焉を迎えつつある」と、ユーザー層によって使用するハードや楽しむゲームの住み分けが明確になりつつあることを指摘している。

 実際、Xboxブランドを擁するマイクロソフトは、PC向けの次期OS「Windows8」でXbox向けのゲームやコンテンツを利用できるようにするという。ゲーム専用機のユーザーだけでなく、PCユーザーもすべてゲーム市場に取り込もうという狙いが見えるなど、ゲーム専用機を中心にしたビジネスモデル自体が大きな転換点を迎えているといっていいだろう。

頼みの綱はゲームよりPSNのユーザー数?

 このように、SCE自体に向かい風が吹いているように思えるが、前出の平林氏、中村氏は「それでも、ソニーを救うとしたらPSブランドしかない」と口を揃える。

 理由のひとつは、ゲーム事業そのものがまったく行き詰まっているわけではない点だ。PS3は全世界で6200万台以上を出荷しており、世界市場での大きなライバルのひとつであるXbox360に追いつく状況となっている。特にリアルなグラフィックのゲームが強い米国では、11年の売り上げベスト10は、Xbox360、PS3向けに提供されているソフトが独占している。Xbox360やPCでも発売されるマルチプラットフォーム展開を行うゲームが多いものの、『アンチャーテッド』シリーズや『風ノ旅ビト』といった訴求力の高いPS独占タイトルもリリースされており、「プラットフォームとして安定してきている」と中村氏は分析する。

 また、アジア市場の開拓にも力が入っている。