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5億円「サマージャンボ宝くじ」の舞台裏。7億円ももうすぐだ!!

宝くじ利権をしっかり組み込んだ総務省とみずほ銀行

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post_461.jpg最終日の27日はすごい行列でした。「Wikipedia」より
 8月7日を心待ちにしている人は多いのではないか。1等と前後賞を合わせて5億円が当たる「サマージャンボ宝くじ」の抽選日である。

 1等4億円は1枚300円の宝くじとしては史上最高の賞金額で、当選本数は26本。1等前後賞は5000万円。2等500万円は52本。サマージャンボに合わせて1等2000万円の「2000万サマー」を同時発売した。こちらも、1等は2011年より50本多い450本となっている。

 2月のグリーンジャンボの3億円を更新して、今回、4億円となったのは法律が改正されたから。3月に宝くじの1等賞金の上限を2.5倍にする改正当せん金付証票法が成立した。くじ1枚当たりの金額の100万倍だった賞金の上限を250万倍に引き上げた。これで1枚300円の宝くじで1等賞金を7億5000万円にまですることができるようになった。

 だから今後も賞金の高額化が進む。7億5000万円の宝くじは、いつ発売されるのだろうか?

 高額化は低迷傾向にある売り上げの回復が狙いだと説明されているが、素直には受け取れない。宝くじの運営は、深いベールに包まれており、資金運用の構造などの透明性のアップが必要と指摘する声はずっとある。1等賞金の引き上げは、批判をかわすための目くらましとの見方もできよう。

 宝くじの資金の流れの一端を、民主党政権の行政刷新会議による事業仕分けが明らかにした。事業仕分けは政治的パフォーマンスでしかなかったが、宝くじの闇に切り込んだことは評価できる。

 宝くじは東京都庁内に事務局を置く「全国自治宝くじ事務協議会」(全国協)を中心に運営されている。メンバーは、発売権限がある都道府県と政令指令都市の財政課長ら。今回、1等賞金を4億円に設定したのも全国協だ。

 政府の事業仕分けに提出された総務省の資料(08年度)によると、宝くじの売り上げは1兆419億円。およそ46%が当せん金として支払われている。約40%は収益金として地方自治体に入る。残る14%が宝くじの販売手数料などの経費だ。これは「46:40:14」の分配方式と呼ばれる。

 問題は、そこから先の資金の流れだ。収益金は全額が発売元の47都道府県と19政令指定都市に入り、公共事業の原資となる。収益金のうち82億円が販売権限のない全国市町村振興協議会に配られる。さらに協議会から71億円が、「宝くじの普及宣伝」の名目で総務省所管の26公益法人に渡る。市町村の協議会は、公益法人に資金を流すトンネルの役割を果たしているわけだ。

 経費のうち総務省所管の財団法人である自治総合センターに98億円、日本宝くじ協会に183億円が「宝くじ事業資金」として上納される。自治総合センターからは宝くじファミリーと呼ばれる総務省管轄の5公益法人に12億円、日本宝くじ協会から同40公益法人に15億円が分配される。

 日本宝くじ協会が06年度から3年連続で助成した112公益法人のうち、59法人に合計108人の官僚OBが常勤役員として在籍していることが明らかになっている。売り上げの3.3%に相当する352億円が総務省が管轄する3つの団体に渡り、天下り組の同省OBの人件費に回るわけだ。

 事業仕分けでは日本宝くじ協会などの関連の4事業について「廃止」と判定。天下り役員の高額な給料や豪華オフィスなどの問題が解決されるまで、宝くじ販売を中止するよう原口一博総務相(当時)に要請すると結論づけた。

 威勢が良かったのは、そこまで。枝野幸男・行政刷新担当相(当時)は原口総務相と会談し、宝くじの発売中止を求めるとした事業仕分けの結論を、あっさり撤回した。

 宝くじの販売手数料としては、792億円が支払われている。宝くじの売り場の大手といえば、みずほ銀行(みずほフィナンシャルグループ)だ。「全国の宝くじ売り場は1万5825店あり、みずほ銀行の直営店は400店強にすぎない」と、みずほは言うが、日本ハーデス(旧・日宝販)を外しての数字だ。民間会社なので仕分けのテーブルに上ることはなかったが、日本ハーデスは旧第一勧業銀行の行員の天下りのための受け皿である。この日本ハーデスは全国に2000カ所の売り場を持ち、ここでの売り上げが全体の5割に達するという。宝くじを売れば、みずほが潤うという構図は不変なのだ。

 最近、宝くじについての内部情報が漏れるようになったのは、みずほで経営の主導権を握る旧日本興業銀行勢が、日本ハーデスの存在を苦々しく思っているからだという説がある。宝くじは、みずほが運営していると言えば聞こえがいいが、実態は旧第一勧銀である。

「宝くじは強制的なものでない。買っている人は自分の意思でおカネを払っている。だから、仕分けには馴染まない」と主張した官僚OBがいたそうだが、宝くじを買っている人が、事業仕分けで問題になったような仕組みで売られているということは、まったく知らないだろう。宝くじの売り上げのうち、当せん金として買い手側に戻ってくるのは46%にすぎない。

 消えた金の一部が、もし、総務省の天下り官僚や、みずほ銀行の天下り族の利権になっているのだとしたら、それこそ問題だ。

 賞金の肥大化に刺激されて、宝くじの売り上げが増えれば、総務省とみずほ銀行の利権もまた、確実に膨らむのである。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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