現在絶賛発売中の月刊誌「サイゾー9月号」(特集:『焚書も覚悟!? なタブー破りの本』『醜聞に揺れる巨人軍の内実』)。今回は、サイゾーでしか書けない刺激満載のニュース記事の中から、以下記事をピックアップしてお届けします。
法改正で見えた与野党議員とサラ金業界の癒着
改正貸金業法では、借金苦による生活破綻などを防ごうと、利息制限法の上限金利を超えてはいるが刑事罰はなかったグレーゾーン金利(10 万円未満の借入の場合、年利20%~29・2%の間)が廃止され、融資額に応じて上限金利が15~20%と定められた。また、年収の3分の1を超える過剰貸付も原則禁止された(総量規制)。
そして今、10年6月の完全施行からわずか2年で、時計の針を逆戻りさせる動きが始まっている。
5月、自民党の「小口金融市場に関する小委員会」(竹本直一委員長。以下、小委員会)は、改正貸金業法を骨抜きにする案をまとめた。「総量規制」を撤廃して年収にかかわりなく借りられるようにすること、上限金利を年利30%程度にまで引き上げることが柱だ。
サラ金消費者金融の別称。主に個人を対象に、無担保で金銭を貸し付ける専門金融会社。2006年の貸金業法改正で、業界大手が揃って経営危機に陥った。
民主党も後を追うように、「改正貸金業法検討ワーキングチーム」(桜井充座長。以下、WT)を立ち上げ、中小・零細事業者向けの短期貸し付けの上限金利を引き上げる方向で検討を進めている。
「実は、超党派の『貸金業法改正の影響と対策に関する勉強会』があり、自民党の案も民主党の案も、そこでの議論がベースになっている」と明かすのは貸金業界関係者である。
この勉強会では、後述する堂下浩・東京情報大学教授などの専門家を講師に招き、貸し出しの規制緩和の必要性などについて議論がなされている。11年7月に同勉強会が発表した「政策提言中間とりまとめ」では、法改正の影響で「中小企業の資金繰り悪化などで、大規模な雇用喪失が起こった」「強引な回収をしないソフトヤミ金が登場した」との見解を示している。確かに、一部メディアでも、「法改正がそれまで荒稼ぎしていた高利貸しビジネスを、壊滅状態に追い込んだ一方、それに代わり、違法金融がはびこり始めている」(「週刊現代」〈講談社/4月23日号〜5月28日号〉連載「ヤミ金融裏事情」より)との報道もみられる。
しかし、日本弁護士連合会(日弁連)消費者問題対策委員会の木村裕二弁護士は、次のように反論する。
「ヤミ金に関する犯罪は、ピーク時の03年と比べ、検挙人数ベースでは2分の1、被害金額は3分の1にまで減り、減少傾向にあります。また、全国の消費生活センターや弁護士会の相談窓口に寄せられるヤミ金相談も減っています。安易に規制を緩めれば、元の木阿弥になってしまう懸念があります」