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大塚将司「反メディア的! その記事、ダマされていませんか?」第1回

朝日新聞、消費増税翼賛で読者離れが止まらない!?

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消費増税法案成立について、民主党と自民党が合意した
ことを報じる8月9日付朝日新聞

“食い逃げ増資”という言葉がある。

 企業が株主に収益見通しや配当計画を公約して増資で資金を得たのに、増資後に公約を実行しないことだ。

 8月10日に成立した消費税増税法は、まさに“食い逃げ”である。今後のシナリオが予想がつくからだ。

 民主党は8月28日の衆院で赤字国債発行法案と、衆院定数削減法案を可決、参院に送付した。しかし、衆院解散・総選挙を求める自民党・公明党はこれに反発、「国民の生活が第一」など野党7党に続き、野田佳彦首相に対する問責決議案を参院に提出、すったもんだの挙句、自民党が折れ、7党案を29日に可決した。これにより、9月8日の会期末までの国会は空転、民主党も自民党も党首選び一色になっている。

 野田代表と谷垣禎一総裁が再選されれば、10月の臨時国会で、赤字国債法案と定数削減法案を成立させ、10月末にも衆院解散するというシナリオだ。もしシナリオに狂いが出るとすれば、谷垣氏が再選されない時だけだった。結局谷垣氏は出馬を断念したが、民自公の3党の間には解散の暗黙の了解があり、今のゴタゴタは茶番以外の何物でもない。年内は「決められる政治」は雲散霧消し、積み残しの法案などがどういう決着になるか、皆目予想がつかない。

 総選挙になれば、各党とも有権者の喜ぶ甘い政策のオンパレードになる。国民に痛みを求める政策はもちろん、国論の別れるような政策もどこかに消えてしまうだろう。前回の総選挙で、民主党がマニフェストで消費増税を掲げなかったことから容易に想像がつく。

 1カ月ほど前だ。朝日新聞関係者に「ここ2、3カ月、消費増税を支持した紙面を非難、解約を通告してくる愛読者が相次いでいる」と聞いた。朝日の紙面を丹念に読むと、朝日が読者の批判をかわすのに腐心している様子が見て取れる。1ページを使い、消費増税について多様な主張を提示していることを示したり(8月6日付朝刊)、「消費増税どう考える」というタイトルで、賛成派の論説委員と反対派の経済部デスクを対談させたり(8月29日付朝刊)している。

「決める政治」という大義名分

 朝日に限らず、大手新聞が消費増税を煽った大義名分は二つある。一つは「決められない政治」から脱却、「決める政治」を実現するというものだ。もう一つは欧州債務危機を目の当たりにして、社会保障と財政不安の連鎖を防ぐために消費増税は必要という判断だ。しかし、「決める政治」ができても、決める順番がある。順番を間違えればマイナスにしかならない。

 社会保障・税一体改革は国の財政悪化に歯止めをかけることだけが目的ではない。最大の狙いは制度を日本経済の現状に合うよう(給付の削減)に改め、成長戦略が実を結ぶような下地を作ることだ。

 そうである以上、増税の前にやるべきことがある。最低限、過去に物価が下がったときに支給額の減額をせずに据え置きしたことで、本来より2.5%高くなっている年金の払い過ぎを解消する年金減額法案は成立させなければならなかった。

 もう一つ、国民一人一人に番号を割り振り、納税や社会保障給付などの情報を一体で管理する仕組みを構築する「マイナンバー法」も同様だ。消費増税実施時の低所得者対策や富裕層への課税強化策に不可欠だが、個人情報を集約することへの抵抗もあり、やはり衆院での審議入りもできなかった。