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シリアルアントレプレナー・小川浩「Into The Real vol.7」

失敗するベンチャーは、フェイスブックやツイッターを目指す?

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Facebookという巨大なプラットフォームを利用して
急成長を遂げたZynga。(同社HPより)
 現在のソーシャル × モバイル化へと続くWeb2.0時代の到来をいち早く提言、IT業界のみならず、多くのビジネスパーソンの支持を集めているシリアルアントレプレナー・小川浩氏。そんな“ヴィジョナリスト”小川氏が、IT、ベンチャー、そしてビジネスの“Real”をお届けする。

 Web2.0ブームの折に、最も有名となった言葉は「永遠のベータ」、そして「ロングテール」だろう。しかし、シリコンバレーにあって日本のベンチャー市場にないものとして、僕は「ロングノーズ」という考え方を挙げておきたい。

「永遠のベータ」とは、パッケージングされたソフトウェア商品とは違って、Webアプリは断続的にバージョンアップを繰り返す。終わりのない開発工程の中で、まずリリースしたのちにアップデートを繰り返す。つまり、常にβ版としての心構えでいようということだ。

「ロングテール」は少し趣旨が異なり、ECにおいては物理的な在庫を持たずに済むゆえに、リアル店舗ではなし得ないほどの多品種を商材とすることができる、そしてその限りなく多くの商品群が、十分な収益を稼ぐという理論だ。

 いわゆるパレートの法則(80:20の法則ともいう。80%の売上は、全体の20%の商品が稼ぐ、という通説)から逃れられるというわけだ。Web2.0が日本中を席巻するバズワードであった2006〜07年には、誰もがこのロングテールによるe-コマース市場の大爆発を夢みたものだ。

●ロングノーズ=長い潜伏期間

 さて、今回はロングテールならぬロングノーズの話をしよう。

 ロングテールは、多品種が少量ずつ売れていく様子をグラフ化すると、恐竜や鎌首を上げた蛇の尾が、長く垂れ下がっているさまに似ているから名付けられたが、僕がいうロングノーズは逆に左を向いた象の鼻に見立てている。意味するところは、スタートアップが始めたサービスが、事業として収益を上げられるまでに長い潜伏期間が必要であることを覚悟しなければならない、ということだ。

 TwitterやFacebookのように、無料サービスをトラフィックエンジンとして、それを換金するマネタイズエンジンとして広告モデルを考えるとき、何よりも優先しなければならないのは、できるだけ多くのユーザーを獲得するということだ。それによって大きな成長を見込む。彼らのようなトラフィックエンジン優先のビジネスモデルの場合、相当に長いロングノーズになることを覚悟しなければならない。

 ロングノーズをできるだけ短くすることは、すなわち最初からお金を稼ぎやすい事業に取り組むか、あるいは早くたくさんのトラクションを獲得して知名度を上げて、少しでも早く、かつ多くの潜在顧客へリーチするしかない。

●なぜ、ソーシャルゲームに手をつけるベンチャーが多いのか?

 日本でいえば、ソーシャルゲームに手をつけるスタートアップが多いのは、ソーシャルゲームが数年間で3000億円を超える市場に成長しており、課金システムの整備が進んでいるため、すぐにお金になるからだ。さらに、旧来型のゲーム市場を徐々に浸食していくだろうから、数年単位で安定した成長が見込めるということもある。