失敗するベンチャーは、フェイスブックやツイッターを目指す?
本来はソーシャルゲームのような分野はロングノーズ型なのだが、ZyngaはFacebookという巨大なプラットフォーム上に流れるトラフィックを、gumiはGREEという巨大なトラフィックを流用できるので、マネタイズを早く実現できた。彼らの急成長は、FacebookやGREEなどのプラットフォームあってのことだ。
同じように、AppleのiOS用アプリを開発するベンチャーも、iPhoneやiPadのApp Storeという巨大なマーケットプレイスが存在するからこそ、面白いゲームや有益なアプリの開発に専念できる。つまり、こうした巨大プラットフォームの上であれば、ロングノーズのリスクを軽減しつつ急成長を実現できるので、多くのスタートアップが参入するのも無理もないことだ。
●事業をどのプラットフォームに置くのか?
スタートアップがとるべき事業戦略の最もシンプルなポイントは、自分たちの中核事業をどのプラットフォーム上に置くかを、明確に意識することである。例えば、OSをプラットフォームと考えれば、その上で事業を考えることとは、Windows対応のアプリを開発することだ。また、ブラウザーをプラットフォームと考えれば、例えばYahoo!のようなポータルや、Googleのような検索サービスという事業をつくっていくことになる。
スタートアップとしては(特に資金力に激しく劣る日本のスタートアップは)、自分自身がプラットフォームになろうとするような超ロングノーズ型事業計画を選択するのは恐ろしく危険だ。成功すれば巨大なリターンが見込めるけれど、失敗する確率もまた極端に高い。シリコンバレーでは、ロングノーズ型事業に取り組むスタートアップと、それに資金を供与するVCも多いが、日本国内ではほぼ不可能に近い。
だから、既存の巨大プラットフォームの上に事業を載せることを考えるべきだし、どのプラットフォームの上で勝負するかを決めることが重要となる。