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裁判官が被告に気を使い、被告とのコミュニケーションを大事にする?

元裁判官が語る「えん罪や、検察のねつ造が生まれるカラクリ」

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「Thinkstock」より
 41年間にわたり裁判官を務め、現在は慶応義塾大学大学院法務研究科で教鞭を執っている原田國男氏の著書『逆転無罪の事実認定』(勁草書房)が話題になっている。

 原田氏は、裁判官時代、主に刑事裁判を手がけ、東京高等裁判所部総括判事時代の8年間で、20件以上の逆転無罪判決を出したことで有名である。1審で有罪判決が下された事件の控訴審で、無罪判決が出ている割合はわずか0.3%。全国の裁判所の全事件をかき集めても、せいぜい年間20件くらいしか出ていないというのが、日本の刑事裁判の現状だ。

 その原田氏に、

 「知られざる裁判、法廷、そして裁判官の実態」
 「えん罪や、検察による調書ねつ造が生まれる理由」
 「判決を出すということの難しさと重さ」

などについて聞いた。

――まず初めに、原田さんが検事や弁護士ではなく、裁判官になられた理由をお聞かせください。

原田國男氏(以下、原田氏) そうですねえ。これといった決定的な理由があるわけではありませんが、強いて言えば、修習で裁判官と接してみたら、それまで抱いていたイメージとはいい意味で大きく違った、ということくらいですかね。私は親戚にも知り合いにも一切裁判官はいませんでしたから、修習で初めて生身の裁判官と接したわけですが、「融通が利かなくて暗い、冷たい、勉強ばかりしている人たち」というイメージを漠然と持っていたのに、実際に接してみたら極めて普通だった。人柄もいいし、明るい、ざっくばらんで魅力的な人たちでした。

――裁判官は、司法修習生の中で、特に成績がいい順に裁判所から声をかけられてなるものだというのは、本当でしょうか?

原田 昔はそうでしたけど、今は変わってきていますよ。昔は修習期間が長かったですし、大規模な弁護士事務所が優秀な修習生を狙って青田買いに動く、なんてこともありませんでした。ですから、修習の最後に受ける試験の結果を見て、成績優秀者に裁判所が声をかける時間的余裕もあったんです。

 でも、今は修習へ行く前に就職先を決めてしまう修習生もいますから、最後の試験の成績を見てから声をかけるなんて悠長なことは裁判所もやってられません。もちろん成績は大前提ではありますから、司法試験の点数くらいは見ていますが、人物を見るウェイトは、昔よりもはるかに高まっていると思いますよ。

――裁判官は法廷で名前も顔も、被告やその家族に知られます。逆恨みをされて嫌な思いをされたりすることなどはありますか?

原田 被告から脅迫状めいたものをもらったことはありますよ。

●批判されやすい無罪判決

『逆転無罪の事実認定』


原田氏の著書。専門書としては異例の売れ行き

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