(「ローソンHP」より)
年明け早々から人事が動いたのが、コンビニエンスストア業界だ。
ファミリーマートは1月1日付で伊藤忠商事常務執行役員の中山勇氏(55)が社長執行役員に就任した。代表取締役への就任は5月開催予定の定時株主総会後になる。上田準二社長(66)は1月1日付で代表権を持つ会長に就いた。
ポスト上田に生え抜き組を起用するのでは? と取り沙汰されていたが、5代連続で伊藤忠出身者の社長に落ち着いた。だが、中山氏のように役員を経験することなく、いきなり社長に就任するのは極めて異例だ。
中山氏は東京都出身。1981年東京大学農学部卒。東大のアメリカンフットボール部に所属。伊藤忠入社後は主に油脂や飼料部門など食糧畑を歩き、油脂部長、飼料・穀物部長、広報部長などを経て、10年4月に執行役員食料カンパニープレジデント補佐。11年4月から常務執行役員を務めていた。
サークルKサンクスは2月21日付で中村元彦社長(53)が退任し、後任には竹内修一取締役(50)を起用する。中村氏は親会社のユニーが2月に移行する持ち株会社、ユニーグループ・ホールディングスの社長に就任する。
注目されるのがローソンだ。ローソンの親会社、三菱商事がどう動くかである。ローソンでは12年10月の中間決算発表の直前に三菱商事から出向していた矢作祥之・取締役専務執行役員で最高財務責任者(CFO、58)が体調を崩して病欠するアクシデントがあった。11月1日付で、今田勝之・上級執行役員(59)がCFOに就任。「配当政策をめぐって新浪剛史社長(53)と矢作CFOが対立したのではないか」といわれた。新浪社長と三菱商事のトップ、小林健社長(63)との間に隙間風が吹き始めたとの見方も浮上している。
新浪氏の後を競うのは3人。トップを走るのが玉塚元一・副社長執行役員(50)。ユニクロを展開するファーストリテイリングの元社長。COO(最高執行責任者)と国内コンビニのCVSグループのCEO(最高経営責任者)を兼務している。「まだ実績を上げたとは言い難い」(ローソンの若手幹部)のが難点だ。
対抗は三菱商事出身でCVSグループCOOの今川秀一・常務執行役員。大穴は、エンタテイメント・ECグループCEOの加茂正治・常務執行役員(45)。矢作CFOがこのまま辞任すると、三菱商事としては次のCFOを送り込まなければならない。三菱商事から大物が来れば、すぐにポスト新浪の有力候補になる。
現在、海外の事業はすべて新浪氏が手がけている。中国問題があること、シンガポールを皮切りに東南アジア進出に手をつけたばかりであることを考えると「社長のポストを譲る気はない」(別のローソンの幹部)。交代するとしても新浪氏は代表権を持った会長になるだろう。