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息を吹き返す消費者金融…本格化する中国進出、国内需要拡大の舞台裏

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「プロミス 公式サイト」より
(運営:SMBCコンシューマーファイナンス)
 グレーゾーン金利の撤廃や過払い金の返還負担に喘ぐ消費者金融業界にとって、救世主になるかもしれない巨大市場・中国が動き出した。消費者金融大手で、無担保ローン「プロミス」を展開するSMBCコンシューマーファイナンスは現在、中国に2現地法人13支店を展開しているが、今後3年以内に中国の主要都市4~5カ所に現地法人を設立し、60~70店の支店網の構築を目指す。将来は中国全土への出店を視野に入れている。

 また、同じく消費者金融大手のアコムも中国進出を模索しているほか、信販大手のオリエントコーポレーションは、3年以内に自動車の割賦販売事業に打って出る計画だ。13億人の人口を抱え、所得拡大と旺盛な消費が見込まれる中国市場に、日本の消費者金融各社が挑む。

 中国政府が「消費者金融会社試行管理規則」を公布し、国内外の金融機関に消費者金融会社の設立を解禁したのは2009年7月。当初は実験的に上海市、北京市、天津市、成都市の4都市をモデル地区として海外資本に開放した。「中国に駐在員事務所を設置してから2年以上の外資系金融機関について、当局との良好な関係などを条件に参入を認めるというものだった」(消費者金融会社幹部)という。

 中国では、それまで個人向け金融ビジネスでは住宅ローンや自動車ローンなどの担保ローンはあったものの、無担保・無保証を基本とする消費者ローンはなく、そのノウハウの確保が最大の課題。中国政府が参入の条件に挙げた「当局との良好な関係」とは、こうした消費者金融に関するノウハウの提供を指している。前出の消費者金融会社幹部は、次のように振り返る。

「顧客のセグメントに応じた金利の設定から与信審査のポイント、モニタリングの仕方など消費者金融事業全般にわたる事務フローについて、トータルのノウハウを提供してくれた外資系金融機関には市場を開放しますということだった」

 この呼びかけに機敏に応えたのが、華僑圏の香港で20年以上の実績を持つSMBCコンシューマーファイナンスで、10年末にプロミス香港を通じて、日本の消費者金融会社初の全額出資子会社を中国本土に設立した。すでに深圳市と瀋陽市に有人店舗を構え、数十億円の融資残高を持つが、さらに拠点拡大で、当面100億円の融資残高を目指すという。

 中国人民銀行によると、中国の小口融資残高は昨年6月末で約5兆8000億円と、2010年末比で2.5倍に拡大した。中国での消費者ローンは、家電などの耐久消費財や結婚、旅行などに資金使途が限られ、融資上限も月収の5倍以内という制限があるものの、「規制緩和が見込まれ、月収そのものがアップしていること。また、金利も法定上限金利は年24%だが、同程度の手数料も徴収することができことから、年40%程度の利幅は確保できる」(別の消費者金融会社幹部)という。中国では一人当たりのGDPが約5000ドルと、消費者金融が事業として成り立つ水準まで成熟してきていることも追い風だ。まさに有望市場と言っていい。

 日本貸金業協会が発表した12年12月の国内消費者向け無担保貸出は2113億円と、3カ月連続して前年同月比9%超の増加となった。10年6月の貸金業法改正を境に加速した市場の縮小も、ようやく底を打った格好だ。こうした国内での市場の回復を背景に、中国など新興国への進出も加速しそうな勢いだ。

 また、自民党内では、規制強化によりシュリンクした消費者金融が、個人消費の拡大を妨げているとの指摘もあり、総量規制など過度な規制を緩和すべきとの声も聞かれる。消費者金融は、長く暗いトンネルを、ようやく潜り抜けようとしているようだ。
(文=森岡英樹/金融ジャーナリスト)