NEW
各金融機関はどう動くのか

預金保険機構から銀行などへ還付金1200億円! 一般預金者に還元されないのはなぜ?

【この記事のキーワード】

,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

銀行は高笑い?(「Thinkstock」より)

「ボーナスは約1200億円」

 4月上旬、各金融機関に対して預金保険機構から総額約1200億円の還付金が支払われた。

 これは、12年度に金融機関が納付した預金保険料からの還付金。各金融機関は、金融機関の経営危機や破綻などに備えて、預金保険機構に対して、預金者の預金1円に対して0.084%を預金保険料として納付している。

 預金保険料は、制度創設時は預金1円に対して0.006%であったが、その後の相次ぐ金融機関の経営破綻を背景に保険料率が上昇し、96年からは現行の0.084%となっていた。

 この間、バブル経済崩壊後の90年代の金融危機では、それまで積み立てていた保険金がすべて使われ、預金保険機構が債券を発行して資金を調達した。その後、金融機関の経営危機や破綻が沈静化したことから、預金保険機構が債券を発行して調達した資金の返済も進み、保険金も順調に積み立てが進んでいた。

 金融機関の経営が安定化してきたことで、金融機関の間からは負担となっている預金保険料の引き下げを求める声が強まり、預金保険機構は保険料率の引き下げを検討した。しかし、同機構内では、「90年代の金融危機で積み立てた保険金が枯渇した経験から、預金保険料率の引き下げには慎重な意見が強い」(メガバンク)こともあり、金融機関が求めたような引き下げには結び付かなかった。

 その代替案として浮上したのが、納付した保険料の還付で、年度中に金融機関の経営破綻がなかった場合には、年度末に保険金の一部を還付するというものだった。12年度については、預金1円に対して0.084%の保険料を支払ったものの、年度間に金融機関の経営破綻がなかったことから、0.014%分の保険料約1200億円が還付金として支払われた。預金保険機構から金融機関に対して保険料の還付が行われたのは、12年度が初めて。もっとも、金融機関側の要求が一時的な保険料の還付ではなく、預金保険料率の引き下げにあることに変わりはなく、引き続き、保険料率の引き下げを求めていく姿勢だ。

 しかし、金融機関の経営破綻がなかったことから還付金が発生したという一時金的性格のものであるにしろ、金融機関にとって還付金が支払われたことは歓迎すべきだろう。

 根本的な問題は、金融機関が預金保険機構に支払っている預金保険料が本来は預金者に還元されるべきものであるという点。たとえ1円に対して0.084%であれ、この保険料は預金に対する金利を保険料に回しているもの。預金保険料を支払わなければ、預金者の預金金利は、保険料率分の金利を上乗せしたものになっていてもおかしくない。

 金融機関側は預金保険料が負担になると主張していても、事実上は預金金利を保険料率分引き下げて賄われているのが実態だ。

 とするならば、12年度で金融機関に還付された約1200億円は、本来ならば預金者に還元されてしかるべきものだが、今のところ預金保険料の還付を預金者に還元するような金融機関は現れてはいない。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)