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自動車の個人間売買、消費増税で普及か?注視する中古車業界、流通激変の可能性も

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カーコンビニ倶楽部は独自の中古車査定サービスを開始する。画像は同社わかつき6号店(「Wikipedia」より/Kuha455405)
 消費税の引き上げは、長年の商慣行を変えるきっかけになることもある。

 中古車業界の場合、「消費税がかからない個人間売買が増える」という説が以前から根強い。今のところ、複雑な登録制度や品質不安を理由に「海外ほど個人間売買のシェアは伸びない」(中古車チェーン運営会社)との見方が主流だが、個人間売買の増加を見込んだ新サービスも登場。中古車業界は個人間売買の動向を注視している。

 欧米では、すでに個人間売買が主流だ。消費税(付加価値税)率が高いうえ、欧米では簡単な故障なら自分で直してしまう国民も少なくない。また韓国では、付加価値税率が引き上げられるたびにユーザーが個人間売買に流れ、中古車業者のビジネスが冷えていった。見かけ上は店舗に中古車を並べているようなところも、個人からの委託販売形式をとっている場合が多い。

●広がらなかった個人間売買

 日本の場合、消費税が1989年に導入されて以来、中古車業界で「個人間売買脅威論」がくすぶってきた。ユーザーが消費税のかからない個人間売買の利点を理解し、こうした取引手法が主流になると、既存の流通システムが崩壊、中古車関連業者の生き残りが難しくなるという心配があるためだ。2000年前後にインターネットが爆発的に普及。ネット販売やオークションが人気を集め始めた頃にも「中古車流通に占める個人間売買のシェアが高まるのではないか」(中古車小売りチェーン経営者)という危機感が一気に強まった。

 しかし、結果的に日本では個人間売買がメジャーになることはなかった。中古車流通に占める個人間売買の構成比は、業界推定で10%前後といわれる。以前と比べると若干増えたものの、業界構造の再構築を迫るほどではない。消費増の導入やネットの普及でも、こうした傾向に変化は起きなかった。

●煩雑な自動車検査登録制度が壁に

 中古車オークション(競売)の関係者は「日本には『自動車検査登録制度』があり、名義変更などの手続きが煩雑。このため、ユーザーの大半は個人間売買になかなか踏み込めなかった」と解説する。また、車の品質やキズをチェックする「査定行為」は「経験や資格を持つプロに任せたほうが間違いない」という値付けの難しさや、「あとでトラブルになっては困る」という心配も“餅は餅屋”の理由と見られる。

 ただ、「だから今後も個人間売買は増えない」と考えるのは早計かもしれない。軽微なキズや凹みを短時間で直す「軽板金」や車検サービスを展開しているカーコンビニ倶楽部(林成治社長、東京都港区)は、来春からチェーン加盟店で独自の中古車査定サービス「カーコン査定」を始める。ユーザーの持ち込んだ車両の価値を第三者という立場で公正に見積もり、「査定評価シート」を有料(5000円前後の見込み)で発行。品質面における不安を減らし、個人間売買を手助けする考えだ。

 この際、カーコン加盟店が提供する「ボディーコーティング」や「車内消臭」といった愛車ケアサービスを行った車両については査定価格を上積みする。こうすれば、加盟店の収益にもつながる。

 ヤフーは昨年暮れ、自動車総合サイトを運営するカービューを買収した。ヤフー出身の兵頭裕社長は「ヤフーとのシナジーを、しっかりと出していく」と語る。査定や品質保証、輸送、トラブル時の解決体制を整えれば「ヤフオクで、知らない人から中古車を買う」ことが一般的になるかもしれない。

 全国の中古車店が加盟する日本中古自動車販売協会連合会の幹部は、「中古車流通に占める個人間売買の比率が35%を超えると、流通構造が激変する」と見る。消費税率のアップや新ビジネスにより、個人間売買はどう動くのか--中古車業界には期待と不安が交錯する。
(文=編集部)