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経営支配を狙い最終局面へ

西武ライオンズの売却はどうなる? 西武HD株主総会でサーベラスと最終対決

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post_2342.jpg菊池雄星は心配なし。(「埼玉西武ライオンズHP」より)
 6月25日、西武鉄道、プリンスホテルなどの持ち株会社「西武ホールディングス(以下、西武HD)」と西武HDの筆頭株主で同社の事実上の支配を目的として、株主公開買付け(TOB)を仕掛けた米投資ファンド・サーベラスとの攻防が最大のヤマ場を迎える。両者が推薦する経営陣の信任が株主総会の場で争われる。

 ビジネスジャーナルでは、先陣を切ってサーベラスの西武HDに対する理不尽とも言える要求の内容をスクープした以上、これまでの両者の主張の食い違い、特にサーベラスの主張がどのように変化し、事実関係と違っているかを明らかにしておく。

 まず、西武鉄道の採算が悪い一部路線の廃線や埼玉西武ライオンズの売却を西武HDに求めた事実について、ビジネスジャーナルがこの事実を取り上げると、各メディアがこれを報道し始めた。西武鉄道の沿線住民が不採算路線の廃線に反対する署名活動が行われるなど、旗色が悪くなったサーベラスは、西武鉄道の一部路線の廃止や西武ライオンズの売却には関心がないと表明し始めた。さらに、TOBに当たって株主に送付した文書の中では、提案は単なるアイデア交換の一部であると主張した。

 しかし、西武HDはサーベラスのスティーブン・ファインバーグ最高経営責任者(CEO)が同社にあてた書面の一部を公開、同氏が鉄道路線の一部廃止や西武ライオンズの売却の可能性などを検討すべき“戦略的行為”として提案している事実を明らかにした。この提案は2012年10月に行われた後、さらに今年1月にもファインバーグCEOから西武HDの後藤高志社長宛てに再度、念押しの文書が届いている。

 今年5月31日付のウオール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の記事には、サーベラス・アジア・パシフィック・アドバイザーズのルイス・フォスター会長が「西武の新規株式公開(IPO)の準備を伝えていたが、特定の時間枠は設けなかった」と述べたと報じている。

 だが、11年6月21日に行われたフォスター氏と後藤社長らの会議で、フォスター氏は新規株式公開の時期として、「12年終わりから13年3月にはできるでしょう」と発言しており、明らかに西武HD側に対して、新規株式公開の時期について期限を提示している。

 さらに、WSJの記事では、12年3月に後藤社長が米国を訪問し、サーベラスのニューヨークオフィスでファインバーグCEOとランチミーティングについて報道。その際に、ファインバーグCEOは、西武の再上場時の株価は、最高2400円と予想していると話したと後藤社長が述べている点について、サーベラス関係者はファインバークCEOがこの会議で上場時の特定の株価を示唆したことを否定し、2400円という水準は西武の複数の主幹事証券会社がそれ以前に示唆していたレンジの上限だったと指摘したと報じている。また、日本経済新聞電子版の6月10日付の記事では、「サーベラス側は現在、ランチミーティングでの評価額発言自体を否定している」とも報じている。

 しかし、指摘されている12年3月21日のランチミーティングでファインバーグCEOは、「複数の証券会社から株価は1800~2400円との提示を受けているが、もっと高い水準だと思う」と述べており、サーベラス側は2400円よりも高い株価を想定・希望していたことは明らか。

 そして、サーベラス側のもっとも不可思議な点は、「経営を支配するつもりはない」と幾度も強調しているが、西武HDの株主総会の議決権行使実績の過半数にあたる44%を目指すTOBを実施した上に、当初、西武HDの取締役15人の過半数を占める9人(一人辞退し、現在は8人)の取締役を送り込むための提案を行っていること。これは、明らかに“経営支配を目的”としたもの以外の何ものでもない。

BusinessJournal編集部

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