日枝久同社会長。
「飲酒運転による追突事故の疑いで逮捕」
「ニューヨーク支局員の経費不正使用」
社員の不祥事が相次いでいるフジテレビ。6月28日、同社の持ち株会社であるフジ・メディア・ホールディングス(フジHD)株主総会が、東京・台場の「ホテル・グランパシフィック LE DAIBA」で午前10時から開催された。
例年、フジHDの総会は、会場周辺にスーツ姿の”コワモテ”ガードマンが多数配置され、ときには不審者を尾行するとの噂もあるほど、物々しい雰囲気に包まれている。今年もトラブルこそなかったものの、その雰囲気は相変わらずだった。また、周辺の警備・案内役には、初老の警備員やフジテレビ若手社員も多数駆り出されていた。
東電不祥事で引責辞任した元社長が、監査役に留任
フジHDの3月期連結売上高は、主力の放送事業と生活情報事業が増収となり、前年同期比0.7%増の5936億4500万円とまずまず。営業利益は同26%増益で、経営的には問題ない様子だ。それだけに今年の大きな焦点は、昨年同様、東京電力元社長の南直哉氏が監査役に留まっている問題だった。
南氏は、02年に発覚した「柏崎刈羽原発・点検記録改ざん事件」により、東電社長を引責辞任させられた人物。東電顧問に残留したまま、06年からフジテレビ監査役に就任し、08年からはフジHD監査役を務めている。
監査役は、会計監査にとどまらず、業務全体を監査する。それだけに「福島原発事故を起こした東電の元社長が監査役にいて、公正な報道はできるのか?」との批判は昨年もあったが、総会で留任が承認された。
そして今年の株主総会。結論からいえば、大きな波乱もなく、いとも簡単に賛成多数で留任が承認された。株主からこの件について質問があったにもかかわらず、議長を務める日枝久会長は南監査役本人に答弁させることはなく、太田英昭専務に答えさせた。太田専務は「引責辞任の経験も含め、経営者としての能力を評価している。失敗のない経営者なんているのか」と開き直った。株主からは「南さんの息子は日本航空のパイロットらしいし、これまで蓄財してきたんだから、お金には困らないでしょ」と揶揄されていた。
儲けられればなんでもオーケー
役員人事以外では、番組制作のあり方にも厳しい目が向けられた。具体的には『AKB48第4回選抜総選挙生放送SP』(6月6日放送)についてだ。株主はこう質問した。
「自分が応援しているメンバーが上位になるように、投票権を得るために数十万円分ものCDを買うファンがいると聞いた。放送機関としてこのような事実を知ってるはずだが、どう考えているのか」