NEW

ヤフー、EC無料化の衝撃〜広がる出店者の活用機会、業界勢力図に影響の可能性も

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「Thinkstock」より
 ヤフーが10月7日に実施した発表会で、eコマース事業における新戦略を発表した。企業が登録するYahoo!ショッピングの出店料と、ヤフオク!の出店料を無料化。さらにヤフオク!に個人が出品、高額商品への入札を行う時に必要だったYahoo!プレミアムへの会員登録も原則無料化する。ざっくりといえば、「売る人からも買う人からも利用料を取らない」という方向に大きく舵を切ったかたちだ。

 さらに、従来は法人しか登録できなかったYahoo!ショッピングへの出店が個人でも可能になる。企業も個人もYahoo!でビジネスをすればお得になる、というメリットを打ち出す大改革だ。

 出店料だけでいうと、今までYahoo!ショッピングに出店するには初期費用として2万1000円、月額費用として毎月2万5000円を支払った上で、売上の1.7~6.0%をロイヤルティとしてヤフーへ支払う必要があった。これが丸ごと無料になる。

 ヤフオク!に関しては、Yahoo!プレミアムの会員料金なので月額399円と少額ではあるが、出品や5000円以上の入札を行うために必要であるため、日常的にオークションを利用しない人でも登録後はずっと払い続けているというケースが多いだろう。不動産や自動車など高額商品に関しては今後もYahoo!プレミアムの会員登録は必要だというが、多くのユーザーにとっては無料で利用できるようになったと考えてよい状態だ。

 ちなみに楽天市場の場合、低コストでスタートできる「がんばれ!プラン」を利用した場合、月額1万9500円の支払いの他にシステム利用料として売上の3.5~6.5%を支払う。長期的に利用するのに向いた「スタンダードプラン」だと月額5万円で、システム利用料は2.0~4.0%だ。

 ヤフーが、Amazonや楽天に本格的な対抗策を打ち出した格好となった。

●出店希望者が“爆増”

 ヤフーの発表によると、新戦略を発表して1日で問い合わせが「爆増」したという。Yahoo!ショッピングの新規ストア出店希望数は通常の数百倍となる約1万件を達成し、年内スタートを予定しているYahoo!ショッピングへの個人出店希望数も約1万6000件集まっているようだ。さらにヤフオク!も通常の30倍の出店申し込みがあったという。

 発表時点でのYahoo!ショッピングのストア数が約2万店舗だというから、出店希望企業がすべて出店に至ったとすれば、1日で店舗数が1.5倍になる反響があったということになる。この中にどれだけ楽天市場や既存のECサービスからの移動組が含まれるのかはわからないが、勢力図が動きそうな気配がしてきたのは確かだ。

●Yahoo!ショッピング無料化で何が起こる?

 従来は初期費用を支払った上で月額料金が発生していたため、気軽に出店/閉店を繰り返すわけにはいかなかった。しかしすべてが無料になったことで、「1カ月だけ出店する」というようなことも、やりやすくなる。これによって、例えば農家が生産物を旬の時期だけ直売することや、かたちの悪い生産物が多く出てしまった時だけ出店する、というようなことも可能になった。出店料がかからない分、「とりあえず試しにチャレンジしてみよう」という法人も増えるかもしれない。

 また個人が出店可能になったことで、法人化していない団体からの出店も可能になった。もちろん、純粋に個人が出店することもできる。従来はハンドメイド品などをヤフオク!に出店している人も多かったが、これからはYahoo!ショッピングで店舗を構えることもできるようになるというわけだ。

 一方、楽天市場の場合、店舗への運営サポートが強力であるといわれているが、無料のYahoo!ショッピングでは、初期のサイトデザインや商品登録等を代行するサービスや、日々の運用を代行するサービスなど、そうした部分をフォローするビジネスの登場も期待できるかもしれない。

 また、出店料を基本的無料としてロイヤルティのみで利用できるなど、低価格・低障壁を特徴としていた他社の各種ECサービスは、苦戦を強いられることが予想される。Yahoo!ショッピングには長年運営されてきた信頼性と企業ブランドがあり、完全無料にされてしまっては太刀打ちできない、という構図になる可能性は高い。

●収益は広告から得る方向へ

 では、出店者からもヤフオク!入札者からも手数料はとらないヤフーは、これまでの出店料にあたる収益をどこでカバーするのかというと、広告収入型に移行するのだという。

 具体的には、商品の検索結果に優先表示する広告枠を出店者に販売するという、従来からヤフオク!などでも行ってきた手法とともに、Yahoo!ショッピング以外の各種サービスに表示する広告枠も新設する。この無料化で出店するショップが増え、さらに流入する人も増えれば広告収入が拡大できるという見込みだ。

 今まで有料だったものが無料になるということで、利用を検討している企業や個人は多いようだが、今後EC業界全体にどのような変化をもたらすのか、早くも注目が集まっている。
(文=エースラッシュ)