「ツライことから逃げるな!」と言われるように、「逃げる」という言葉には強いマイナスイメージがありますよね。
たとえば、「五月病」ということで何に対してもやる気が起きない今の時期、かったるいからといって仕事を休んでしまうと、周囲から「きついことがあるとすぐ逃げる人」というレッテルを貼られかねません。これは、まぎれもなく低評価です。
でも、本当に「逃げること=悪いこと」なのでしょうか? 嫌なことやツライことを我慢するのがいいことなのでしょうか?
決してそんなことはありません。『人生の9割は逃げていい。』(井口晃/著、すばる舎/刊)では、こんな風潮に流されず、「嫌なことからは逃げる生き方」がつづられています。
■苦手な仕事からは逃げていい
苦手な仕事から逃げて得意な仕事しかやらない人って、職場での印象は良くないですよね。でも、苦手なことや向いてないことを我慢してやっても能率は上がりませんし、成果も出にくいもの。だったら、苦手なことは人に任せて、得意な仕事に集中するほうが会社にとっても有益です。
「やりたくないことはやらない」という姿勢を鮮明にして、苦手な仕事を断り続けていれば、そのうちそういう仕事は回ってこなくなるはずです。
■自分との戦いから逃げていい
誰にだってやる気が出ない日もあれば、仕事に行きたくない日もあります。そんな時、真面目な人ほど、「なぜ、やる気が出ないんだろう」と、自分と向きあって考えることで、やる気が出ない原因を探ろうとしますが、そんなことをしたって時間がすぎるばかり。悩んでやる気が出ることはありません。
やる気が出ない時は、自分と向き合うことなどやめて、人に会いに行ってコミュニケーションをとる方が得策だと井口さんは言います。会うとやる気が出る人、尊敬している人に会って、エネルギーを分けてもらいましょう。
■面倒な人間関係からも逃げていい
今の人間関係が崩れることを恐れるあまり、私たちは会いたくない人に会ったり、行きたくない飲み会に行ったりします。これってすごくストレスが溜まりますよね。
しかし、人間関係なんて9割捨てても困ることはないというのが井口さんの持論。一時的に人とのつながりが少なくなるだけで、すぐに新しい仲間ができるといいます。
嫌いな人、苦手な人と付き合う必要はありません。心の底から信頼できるごくわずかな人とのつながりさえ保てていれば、孤独になることはないのですから。
「逃げること=悪いこと」と思いこんでいると、毎日は窮屈で息苦しいものになるばかり。そんな人にとっては、「逃げ続けてきたからこそ自由をつかむことができた」と語る著者ならではの生き方は救いとなってくれるはず。